monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
no lack Ⅱ
それは目も当てられない程の、残酷な、現実。
だが真実を告げた時、顔色一つ変えずに彼女は穏やかに笑った。
『no lack』Ⅱ
「…一番バランスが良いのは、フリクリたちでしょうね」
ジークは特に考える素振りもなくそう言った。
「フリクリもガーネットも攻守がしっかりしているし、互いの背を預けている」
「それは信頼の証ですものね」
クォーツは笑って応じる。
「その意味ではリンとペリドットも同じ。まだ未熟ではあるでしょうが、それぞれの弱点を"二人"で補えている」
「レイヴンとラピスラズリは対照的ですね」
クォーツが促すと、ジークは更に続ける。
「彼は完全に攻めに重きがある。攻めこそが防御と言ったところかな」
昔からジークはものを語るのが好きだ。つき合いの長いクォーツは勿論それを知っている。
「ルカとダイヤは未知だな。何を起こすか分からない」
幼く気弱な少年と対照的な気の強い少女。双方を思い浮かべてジークが笑う。クォーツはそんなジークの話を聞くのが好きだった。
「あら。それならキングもそうでしょう?」
クォーツの出した名前に、ジークはうむ、と唸る。
「貴女の切り札ですか?」
他の人間もキングに対してはぎこちない反応をする。鉱石の主たちはそんなこともない人間が多いが、中でも「6月の君」とジークはあまり良い顔をしない。尤もジークに関しての話をするなら、嫌いなのではなくただ単に扱いに難しいからだった。人となりは嫌いではない。だが、立ち位置が曖昧すぎて距離が計りにくいのだとジークは言う。
「彼の場合はバランス云々を抜きにして一番強い。本人はそれを快くは思っていないようですがね」
するとクォーツは可笑しそうに笑う。
「彼は面倒が嫌いなだけですわ」
『えぇ、お嫌いですね』
あの時、キングはそう言って苦笑した。
「…尤も、そういう意味では貴女が一番お強い」
そのすべてを統べる、まだ大人になりきらない少女。されど大人と同じように、否、大人以上に大人らしい。
「…私は、忘れていませんよ」
初めて見た時、なんて美しいのだろうと思った。人形みたいだ、という同僚の呟きは実に的を射ているとジークは思ったのだ。だが、そんな少女に突きつけられたそれは、目も当てられない程の、残酷な、現実だった。
息の詰まる思いを噛み殺しながら真実を告げた時、顔色一つ変えずに彼女は穏やかに笑った。
「…そうですか、」
怯えることも取り乱すこともなく、静かに。
「では私も、やらなければならないことを始めなければなりませんね」
まるで動じた様子もなく、何もなかったかのように。
「…ローズ・クォーツ、」
不意に口をついて出た名前に、クォーツはゆっくり振り返る。ジークにとって、それは酷く永い時間だった。
「貴方は、私を見届けてくださる?」
ジークの心は定まっていた。
「…では、私に鉱石を与えてください」
それが、始まり。
ジークは懐かしげに目を細めて、再び紅茶を口にする。
「だから、私は貴女の傍にいる」
ジークの言葉に、クォーツは持ち上げたティーカップを下ろした。
「見届けていただきますわ、…最期まで」
そしてあの時と同じ様に、綺麗に笑った。
だが真実を告げた時、顔色一つ変えずに彼女は穏やかに笑った。
『no lack』Ⅱ
「…一番バランスが良いのは、フリクリたちでしょうね」
ジークは特に考える素振りもなくそう言った。
「フリクリもガーネットも攻守がしっかりしているし、互いの背を預けている」
「それは信頼の証ですものね」
クォーツは笑って応じる。
「その意味ではリンとペリドットも同じ。まだ未熟ではあるでしょうが、それぞれの弱点を"二人"で補えている」
「レイヴンとラピスラズリは対照的ですね」
クォーツが促すと、ジークは更に続ける。
「彼は完全に攻めに重きがある。攻めこそが防御と言ったところかな」
昔からジークはものを語るのが好きだ。つき合いの長いクォーツは勿論それを知っている。
「ルカとダイヤは未知だな。何を起こすか分からない」
幼く気弱な少年と対照的な気の強い少女。双方を思い浮かべてジークが笑う。クォーツはそんなジークの話を聞くのが好きだった。
「あら。それならキングもそうでしょう?」
クォーツの出した名前に、ジークはうむ、と唸る。
「貴女の切り札ですか?」
他の人間もキングに対してはぎこちない反応をする。鉱石の主たちはそんなこともない人間が多いが、中でも「6月の君」とジークはあまり良い顔をしない。尤もジークに関しての話をするなら、嫌いなのではなくただ単に扱いに難しいからだった。人となりは嫌いではない。だが、立ち位置が曖昧すぎて距離が計りにくいのだとジークは言う。
「彼の場合はバランス云々を抜きにして一番強い。本人はそれを快くは思っていないようですがね」
するとクォーツは可笑しそうに笑う。
「彼は面倒が嫌いなだけですわ」
『えぇ、お嫌いですね』
あの時、キングはそう言って苦笑した。
「…尤も、そういう意味では貴女が一番お強い」
そのすべてを統べる、まだ大人になりきらない少女。されど大人と同じように、否、大人以上に大人らしい。
「…私は、忘れていませんよ」
初めて見た時、なんて美しいのだろうと思った。人形みたいだ、という同僚の呟きは実に的を射ているとジークは思ったのだ。だが、そんな少女に突きつけられたそれは、目も当てられない程の、残酷な、現実だった。
息の詰まる思いを噛み殺しながら真実を告げた時、顔色一つ変えずに彼女は穏やかに笑った。
「…そうですか、」
怯えることも取り乱すこともなく、静かに。
「では私も、やらなければならないことを始めなければなりませんね」
まるで動じた様子もなく、何もなかったかのように。
「…ローズ・クォーツ、」
不意に口をついて出た名前に、クォーツはゆっくり振り返る。ジークにとって、それは酷く永い時間だった。
「貴方は、私を見届けてくださる?」
ジークの心は定まっていた。
「…では、私に鉱石を与えてください」
それが、始まり。
ジークは懐かしげに目を細めて、再び紅茶を口にする。
「だから、私は貴女の傍にいる」
ジークの言葉に、クォーツは持ち上げたティーカップを下ろした。
「見届けていただきますわ、…最期まで」
そしてあの時と同じ様に、綺麗に笑った。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。