monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
ニッケルから出張です。
こっちには持ち込まないと決めていたのですが、病み気味なんで急遽こっちへ。
ごめんなさい。
うん、きっと雨だからだよ、うん。
またまた補足。
神津の苦手な男の人は篤抖(あつと)さんと言います。紫闇の兄で、紫闇に殺されたように見せ掛けて放棄。実力者でありながら、最弱のカオスを殺すことのできない、意図的に常識の欠落した人。茉咲とは特別な仲(笑)
ごめんなさい。
うん、きっと雨だからだよ、うん。
またまた補足。
神津の苦手な男の人は篤抖(あつと)さんと言います。紫闇の兄で、紫闇に殺されたように見せ掛けて放棄。実力者でありながら、最弱のカオスを殺すことのできない、意図的に常識の欠落した人。茉咲とは特別な仲(笑)
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手首。
『…駄目だよ、それ以上殺ったら』
神津の一番好きじゃない、どちらかと言えば確実に苦手の部類に入る男。腕を見るたびに、神津はその男のコトを思い出す。
両腕に残るのは、もう10年以上前の躾の証。傍若無人な茉咲は、基本的に傷つくようなことをやらせる。武器の扱いは教えてもらったというより、殺されかけ命懸けで身体が覚えたと言った方が正しい。だから、両腕には数えきれないくらい傷を作ったし、一番酷いものは鎖骨辺りまで跡が残っている。だが、たった一ヶ所だけ傷がまったくない場所がある。
神津は天井に手を伸ばしてぼんやりと手を眺める。見えるのは手の甲。それをくるりと返すと、無傷な、左手首。
本来なら、ここだってザックリと深い傷が入っていたに違いない。それで死んだら、自分は運のない奴だと思ったし、しぶとく生き残ったらただ死ななかったのかと思うだけ。
かといって、今更傷つけたいとは思わないが。
でも。
たまに、そうやって紛らわす方のが余程楽かもしれないと思うことがある。
自分に対する嗜虐心が芽生えたわけではない。他人に対する嗜虐心(特定の人に対するもの)があるのは否定しないが。
だってあまりにも異様で。
さも意味があるように思えて。
何の意味もないのに。
そうして苦い過去を思い出す。
「…駄目だよ、それ以上殺ったら」
男は神津の左手首を強く掴む。普段の非力が嘘のように、それを外すことは叶わない。
「なんっ…」
本能で動いた腕は、男に鎌を向けて。男はそれを避けることもできた。それだけの実力があることを神津は知っていたつもりだ。
寸前で回避させた神津だったが、長い得物の切っ先は神津の腕を掴んでいた男の手の甲を切り裂いた。手の甲から伝った血が神津の捕まれた手に伝って、気持ち悪い感触が疾る。その感触を振り払いたくて動かした腕。その時の神津は、殺すとか殺さないとかそんなことはどうでもよかった。ただ一心にその感触を振り払ってしまいたかった。
神津の鎌が他のモノまで傷つけようとしているのを察して、男は辛そうな表情で日本刀を具現化し鎌の動きを封じた。
「…もう、十分だろう」
男はそう言うと、神津の手を離した。神津はその手の血を自分の服に押しつけるようにして何度も拭った。
精神的に侵食された感覚。
いや、むしろ汚染されたと言うべきか。
神津は早鐘を打つ心臓を落ち着かせようと、鎌を下ろした。すると男も日本刀をおろし、すぐにそれを問いた。
「…そんなことで怯えるくせに、よくカオスを殺せるものだね」
皮肉そうに男は言う。
「アレは人間じゃないからな」
男の言っていることが解らない。神津は吐き捨てるようにそう言った。
「果たして、本当にそうだと言える…?」
男は冷静な紫苑の瞳で神津を捉える。
信じて疑わなかった。
それは口にする必要も、考える必要もまったくないこと。カオスを殺さなければ、此処で平穏な日々を送れるはずがない。だがこの男の言葉は、瞳は、それすらも揺るがすような強い力があって。
「…あぁ、そうだ」
ようやく発した言葉は、相当頼りないものだった。それに神津も気付いている。揺らいでしまうのは、きっと今の自分が冷静ではないから。落ち着いていないからだ。
「――――…そう、」
でも本当は違うと理解っている。
胸が詰まりそうな程恐怖したのは、男の能力だった。日本刀が具現化された途端に、息苦しくなった。それは力に呑まれた証拠。今まで直接ぶつかることのなかった、絶対的な支配の中。
「…じゃあ、殺せるかい?僕を」
男は真っすぐな瞳を向けてくる。
「僕は…人じゃない」
土気色に侵喰された腕。
それは他でもない、カオスだという証明。
結局、神津は男を殺すことができなかった。
それからしばらくして、男は消えた。
死んだのではない。
『放棄』したのだ。
神津は腕を下ろして、ゆっくりと目を閉じた。
今でも、あの人は苦手だ。
やっぱり、殺すことはできないだろうから。
そう思い至って、神津は身体を起こす。携帯と鍵をポケットに。財布の入ったコートを引っ掛けて、今日も夜闇に足を踏み入れた。
神津の一番好きじゃない、どちらかと言えば確実に苦手の部類に入る男。腕を見るたびに、神津はその男のコトを思い出す。
両腕に残るのは、もう10年以上前の躾の証。傍若無人な茉咲は、基本的に傷つくようなことをやらせる。武器の扱いは教えてもらったというより、殺されかけ命懸けで身体が覚えたと言った方が正しい。だから、両腕には数えきれないくらい傷を作ったし、一番酷いものは鎖骨辺りまで跡が残っている。だが、たった一ヶ所だけ傷がまったくない場所がある。
神津は天井に手を伸ばしてぼんやりと手を眺める。見えるのは手の甲。それをくるりと返すと、無傷な、左手首。
本来なら、ここだってザックリと深い傷が入っていたに違いない。それで死んだら、自分は運のない奴だと思ったし、しぶとく生き残ったらただ死ななかったのかと思うだけ。
かといって、今更傷つけたいとは思わないが。
でも。
たまに、そうやって紛らわす方のが余程楽かもしれないと思うことがある。
自分に対する嗜虐心が芽生えたわけではない。他人に対する嗜虐心(特定の人に対するもの)があるのは否定しないが。
だってあまりにも異様で。
さも意味があるように思えて。
何の意味もないのに。
そうして苦い過去を思い出す。
「…駄目だよ、それ以上殺ったら」
男は神津の左手首を強く掴む。普段の非力が嘘のように、それを外すことは叶わない。
「なんっ…」
本能で動いた腕は、男に鎌を向けて。男はそれを避けることもできた。それだけの実力があることを神津は知っていたつもりだ。
寸前で回避させた神津だったが、長い得物の切っ先は神津の腕を掴んでいた男の手の甲を切り裂いた。手の甲から伝った血が神津の捕まれた手に伝って、気持ち悪い感触が疾る。その感触を振り払いたくて動かした腕。その時の神津は、殺すとか殺さないとかそんなことはどうでもよかった。ただ一心にその感触を振り払ってしまいたかった。
神津の鎌が他のモノまで傷つけようとしているのを察して、男は辛そうな表情で日本刀を具現化し鎌の動きを封じた。
「…もう、十分だろう」
男はそう言うと、神津の手を離した。神津はその手の血を自分の服に押しつけるようにして何度も拭った。
精神的に侵食された感覚。
いや、むしろ汚染されたと言うべきか。
神津は早鐘を打つ心臓を落ち着かせようと、鎌を下ろした。すると男も日本刀をおろし、すぐにそれを問いた。
「…そんなことで怯えるくせに、よくカオスを殺せるものだね」
皮肉そうに男は言う。
「アレは人間じゃないからな」
男の言っていることが解らない。神津は吐き捨てるようにそう言った。
「果たして、本当にそうだと言える…?」
男は冷静な紫苑の瞳で神津を捉える。
信じて疑わなかった。
それは口にする必要も、考える必要もまったくないこと。カオスを殺さなければ、此処で平穏な日々を送れるはずがない。だがこの男の言葉は、瞳は、それすらも揺るがすような強い力があって。
「…あぁ、そうだ」
ようやく発した言葉は、相当頼りないものだった。それに神津も気付いている。揺らいでしまうのは、きっと今の自分が冷静ではないから。落ち着いていないからだ。
「――――…そう、」
でも本当は違うと理解っている。
胸が詰まりそうな程恐怖したのは、男の能力だった。日本刀が具現化された途端に、息苦しくなった。それは力に呑まれた証拠。今まで直接ぶつかることのなかった、絶対的な支配の中。
「…じゃあ、殺せるかい?僕を」
男は真っすぐな瞳を向けてくる。
「僕は…人じゃない」
土気色に侵喰された腕。
それは他でもない、カオスだという証明。
結局、神津は男を殺すことができなかった。
それからしばらくして、男は消えた。
死んだのではない。
『放棄』したのだ。
神津は腕を下ろして、ゆっくりと目を閉じた。
今でも、あの人は苦手だ。
やっぱり、殺すことはできないだろうから。
そう思い至って、神津は身体を起こす。携帯と鍵をポケットに。財布の入ったコートを引っ掛けて、今日も夜闇に足を踏み入れた。
とりあえず、
二本並行で、他単発を書いていこうと思います。予定は未定を心がけて(ダメじゃん)。
解りにくい時は、カテゴリ別で見ると解りやすいですよ!作品ごとにカテゴリちがうので。戯言は単発もの。
それにしても…なんて不親切なシステムなんざんしょ(-_-;)
解りにくい時は、カテゴリ別で見ると解りやすいですよ!作品ごとにカテゴリちがうので。戯言は単発もの。
それにしても…なんて不親切なシステムなんざんしょ(-_-;)
[code:world end.] 設定
死は覚悟していた。
特別死を恐れたりはしなかった。
人の死を目の当たりにしたら、大抵のことは拍子抜けしてしまうくらい何でもない。
ただ、唯一心残りがあったとすれば、それは知ることができなかったこと。
仲間に協力してもらったのに、大事な目的果たせないのは本当に申し訳ないと思う。
俺は何のために、ここへ来た?
何がしたくて、覚悟を決めた?
そう、俺は真実が知りたい。
どうして兄は死ななければならなかったのか?
あの女が殺したのか?
あの夜の真実を知るために、俺はここに来たのだ。
異例の独立都市・楽譜へ。
・登場人物・
宇都宮脩二(ウツノミヤシュウジ) age:23
→普通の男。千景を追い掛けて楽譜へやってきた。楽譜に着いたところを織屋に助けられ、生き抜き方を教わる。織屋に託された銃・「嘆きの女神」を扱う。
陸沢篤尋(オカサワアツヒロ) age:27
→かつては「上」に居り、GUNS・00のナンバーを持っていた。家事全般が得意で、基本的に何でも要領良くこなす。GUNS時代からの相棒・「catwalk」(銃)を扱う。
児島馨至(コジマケイシ) age:27
→「上」に居たが、あまりの「上」の暴挙に「嗄楽」へ下る。篤尋を手伝いつつ、同居している。情に厚く、女子供には特に優しい。愛銃・「涼風」を扱う。
織屋シュウジ(オリヤシュウジ)
→最初に仲間と共に「嗄楽」に下った人間。飄々とした性格で、常に余裕を持っている。いざとなれば頼りになる。脩二の世話を焼き、「嘆きの女神」を託す。
小湊千景(コミナトチカゲ) age:27
→脩二の追う人物。ミステリアスで多くを語らない。誰もが振り返るほどの美女で、丸め込んだ男は数知れず。様々な都市を転々としている。
・用語・
楽譜(ラクフ)
→法のみに支配された異例の都市。「上」。誰もが法に縛られ、住みよい環境にいるのは地位を持った者だけ。
嗄楽(カレラ)
→「楽譜」の下層の総称。「下」。上から逃げてきた人間達によって構成されている。非力な者が多い。
指揮者(conductor)
→「楽譜」の最高権力者。
GUNS(ガンズ)
→指揮者直属の私設兵。執行人に代わって、刑の執行をすることもある。基本的に指揮者に絶対服従。通称・狗(イヌ)。
刑事(警察)
→指揮者の補佐役。但し、GUNSの行動の抑止はできない。所謂パシリ。
天上
→公開処刑場のこと。「上」の人間には観覧席が設けられ、「下」からも公開処刑を見ることができる。
・抵抗手段・
基本的に銃が主流。稀に刀を扱う人間もいるが、大抵は銃を扱える。「上」では銃の扱いに長けた精鋭がGUNSに挙げられる。「下」で銃を持つのは一部の人間だけ。そして所有する銃には、扱う者が思い思いの呼称を付けるのが通例。
登場人物・設定は随時追加予定。
特別死を恐れたりはしなかった。
人の死を目の当たりにしたら、大抵のことは拍子抜けしてしまうくらい何でもない。
ただ、唯一心残りがあったとすれば、それは知ることができなかったこと。
仲間に協力してもらったのに、大事な目的果たせないのは本当に申し訳ないと思う。
俺は何のために、ここへ来た?
何がしたくて、覚悟を決めた?
そう、俺は真実が知りたい。
どうして兄は死ななければならなかったのか?
あの女が殺したのか?
あの夜の真実を知るために、俺はここに来たのだ。
異例の独立都市・楽譜へ。
・登場人物・
宇都宮脩二(ウツノミヤシュウジ) age:23
→普通の男。千景を追い掛けて楽譜へやってきた。楽譜に着いたところを織屋に助けられ、生き抜き方を教わる。織屋に託された銃・「嘆きの女神」を扱う。
陸沢篤尋(オカサワアツヒロ) age:27
→かつては「上」に居り、GUNS・00のナンバーを持っていた。家事全般が得意で、基本的に何でも要領良くこなす。GUNS時代からの相棒・「catwalk」(銃)を扱う。
児島馨至(コジマケイシ) age:27
→「上」に居たが、あまりの「上」の暴挙に「嗄楽」へ下る。篤尋を手伝いつつ、同居している。情に厚く、女子供には特に優しい。愛銃・「涼風」を扱う。
織屋シュウジ(オリヤシュウジ)
→最初に仲間と共に「嗄楽」に下った人間。飄々とした性格で、常に余裕を持っている。いざとなれば頼りになる。脩二の世話を焼き、「嘆きの女神」を託す。
小湊千景(コミナトチカゲ) age:27
→脩二の追う人物。ミステリアスで多くを語らない。誰もが振り返るほどの美女で、丸め込んだ男は数知れず。様々な都市を転々としている。
・用語・
楽譜(ラクフ)
→法のみに支配された異例の都市。「上」。誰もが法に縛られ、住みよい環境にいるのは地位を持った者だけ。
嗄楽(カレラ)
→「楽譜」の下層の総称。「下」。上から逃げてきた人間達によって構成されている。非力な者が多い。
指揮者(conductor)
→「楽譜」の最高権力者。
GUNS(ガンズ)
→指揮者直属の私設兵。執行人に代わって、刑の執行をすることもある。基本的に指揮者に絶対服従。通称・狗(イヌ)。
刑事(警察)
→指揮者の補佐役。但し、GUNSの行動の抑止はできない。所謂パシリ。
天上
→公開処刑場のこと。「上」の人間には観覧席が設けられ、「下」からも公開処刑を見ることができる。
・抵抗手段・
基本的に銃が主流。稀に刀を扱う人間もいるが、大抵は銃を扱える。「上」では銃の扱いに長けた精鋭がGUNSに挙げられる。「下」で銃を持つのは一部の人間だけ。そして所有する銃には、扱う者が思い思いの呼称を付けるのが通例。
登場人物・設定は随時追加予定。
monochrome
「それすらもう、戯言ってことで」
奴はそう、ケタケタと、笑った。
僕が奴と初めて接触してから、既に一年が経とうとしている。
決まったように夜に活動する奴が、白昼何をしているのか知らない。(どうせ、碌なことはしていないんだろうが)
どこに住んでいるのかも、いくつなのかも。(見た目から察するに、僕と同い年…もしくはいくつか下と言ったところか)
だからといって不自由することはなかったし、そもそも奴の懐に入ろうとも思わない。
誰かの懐に入るということは、少なからずこちらも干渉を許さねばならないと思っているからだ。
誰かに干渉するのも面倒だし、何より干渉されるのは一番嫌い。
だから、奴の距離の取り方に便乗した「この間柄」はなかなか嫌いじゃない。
「お、また来やがったか」
大体遅れて行くのは僕の方だ。(そもそも待ち合わせなどしていないのだから、遅れるというのは変な言い方だ)
そんな僕を、奴はいつも興味深そうに眺めて、ケタケタと、笑う。まるで、今日初めて出会ったと言わんばかりの反応で。
本当は興味なんて持っていないに違いない。そんな奴には見えない。
だけど、気づかないフリをして僕は軽く応える。
「帰り道に、お前が居ただけだ」
会いに来たわけじゃない、と一応意思を示しておく。
だが奴はまた、ケタケタと、笑っただけだった。
奴にとって、そんなことはどうでもいいらしい。かく言う僕も、そんなことはどうでもいいと思う。(意味のない気を遣ってしまった)
「さて今日は、何の話をしてやろうか」
両手をポケットに突っ込んで、足元の小石をける。正直なところ、とても何かを話して聞かせてやろうという姿勢ではない。
だが、あえて沈黙を守っていると勝手に奴は話し始めた。
「お前、この世界どォ思うよ」
答える前に、奴は続ける。どうやら奴は答えを求めて問いているわけではないらしい。(非常に紛らわしい)
「俺は実に嫌いでね、だから俺は世界を殺そうと思うわけだ」
本当に簡単に言うから、できる気がしてくる。奴なら、何なくやりそうだ。
「で、どうする?」
視線が僕を捉える。今度はちゃんと意見を求められている。だが、意味がわからない。
「どうするって、何が?」
僕の答えに、奴は「またまた~」と手を振りながら笑う。ケタケタと、笑う。
正直、どうでもいい。世界が殺されようが、世界に殺されなければいい。(それくらい僕にはどうでもいい)恐らく、奴も本当はどうでもいいのだ。
「お前みたいなウザい顔してる奴、初めてだ」
相変わらずケタケタと、笑いながら奴は距離をつめる。まるで、逃がすまいとするように。(その実奴は何も考えていないに違いない)
「この世界そのものがウザいって表情、」
僕は無意識に挑むような眼差しを向けていたらしい。奴が退く。
「お前、俺にそっくりだ」
奴の言葉に虚を突かれた。まさか、奴からそんな言葉が出るとは。周りなんて気に止めるはずがないと思っていたのに。それに、
「―――冗談だろ、」
奴があまりにも。
あまりにも真剣な声を出すから。動揺しなかったと言えば嘘になる。だから、それを誤魔化すように笑う。奴を真似て、ケタケタと、笑う。
なるほど、よく似ている。
「俺の言ったこと、マジだと思った?」
奴の声がいつもの調子に戻っていた。
「それすらもう、戯言ってことで」
奴はそう、ケタケタと、笑った。
「んじゃ、俺帰るわ」
その時、もう二度と奴に会うことはないだろうと思った。(そもそも意図的に会おうとしてたわけじゃないが)
「あぁ、」
僕は止めない。
奴も止まらない。
距離が離れていく。
それでも構わなかった。
そんなことはどうでもいい。
きっと奴もどうでもいい。奴の姿を追わずに、踵を返す。急に寒さを思い出したからだ。
あぁ、やはりよく似ている。
口元が微かに緩んだのを自覚する。その時、微かに聞こえた気がした。奴がケタケタと、笑う声が。
奴は本当に世界を殺すだろうか。自分を殺そうとする世界を相手に。
『それすらもう、戯言ってことで』
本当に戯言だ。
寒い夜はすべての音を吸い込んで、そして初めから何もなかったかのように世界を塗り替える。
奴もいない。
僕もいない。
じゃあ、僕らは出会わなかった?
いや、それこそが戯言だ。
だから僕は待ち続ける。
いつしか奴が、世界を殺す日を。
end...?
奴はそう、ケタケタと、笑った。
僕が奴と初めて接触してから、既に一年が経とうとしている。
決まったように夜に活動する奴が、白昼何をしているのか知らない。(どうせ、碌なことはしていないんだろうが)
どこに住んでいるのかも、いくつなのかも。(見た目から察するに、僕と同い年…もしくはいくつか下と言ったところか)
だからといって不自由することはなかったし、そもそも奴の懐に入ろうとも思わない。
誰かの懐に入るということは、少なからずこちらも干渉を許さねばならないと思っているからだ。
誰かに干渉するのも面倒だし、何より干渉されるのは一番嫌い。
だから、奴の距離の取り方に便乗した「この間柄」はなかなか嫌いじゃない。
「お、また来やがったか」
大体遅れて行くのは僕の方だ。(そもそも待ち合わせなどしていないのだから、遅れるというのは変な言い方だ)
そんな僕を、奴はいつも興味深そうに眺めて、ケタケタと、笑う。まるで、今日初めて出会ったと言わんばかりの反応で。
本当は興味なんて持っていないに違いない。そんな奴には見えない。
だけど、気づかないフリをして僕は軽く応える。
「帰り道に、お前が居ただけだ」
会いに来たわけじゃない、と一応意思を示しておく。
だが奴はまた、ケタケタと、笑っただけだった。
奴にとって、そんなことはどうでもいいらしい。かく言う僕も、そんなことはどうでもいいと思う。(意味のない気を遣ってしまった)
「さて今日は、何の話をしてやろうか」
両手をポケットに突っ込んで、足元の小石をける。正直なところ、とても何かを話して聞かせてやろうという姿勢ではない。
だが、あえて沈黙を守っていると勝手に奴は話し始めた。
「お前、この世界どォ思うよ」
答える前に、奴は続ける。どうやら奴は答えを求めて問いているわけではないらしい。(非常に紛らわしい)
「俺は実に嫌いでね、だから俺は世界を殺そうと思うわけだ」
本当に簡単に言うから、できる気がしてくる。奴なら、何なくやりそうだ。
「で、どうする?」
視線が僕を捉える。今度はちゃんと意見を求められている。だが、意味がわからない。
「どうするって、何が?」
僕の答えに、奴は「またまた~」と手を振りながら笑う。ケタケタと、笑う。
正直、どうでもいい。世界が殺されようが、世界に殺されなければいい。(それくらい僕にはどうでもいい)恐らく、奴も本当はどうでもいいのだ。
「お前みたいなウザい顔してる奴、初めてだ」
相変わらずケタケタと、笑いながら奴は距離をつめる。まるで、逃がすまいとするように。(その実奴は何も考えていないに違いない)
「この世界そのものがウザいって表情、」
僕は無意識に挑むような眼差しを向けていたらしい。奴が退く。
「お前、俺にそっくりだ」
奴の言葉に虚を突かれた。まさか、奴からそんな言葉が出るとは。周りなんて気に止めるはずがないと思っていたのに。それに、
「―――冗談だろ、」
奴があまりにも。
あまりにも真剣な声を出すから。動揺しなかったと言えば嘘になる。だから、それを誤魔化すように笑う。奴を真似て、ケタケタと、笑う。
なるほど、よく似ている。
「俺の言ったこと、マジだと思った?」
奴の声がいつもの調子に戻っていた。
「それすらもう、戯言ってことで」
奴はそう、ケタケタと、笑った。
「んじゃ、俺帰るわ」
その時、もう二度と奴に会うことはないだろうと思った。(そもそも意図的に会おうとしてたわけじゃないが)
「あぁ、」
僕は止めない。
奴も止まらない。
距離が離れていく。
それでも構わなかった。
そんなことはどうでもいい。
きっと奴もどうでもいい。奴の姿を追わずに、踵を返す。急に寒さを思い出したからだ。
あぁ、やはりよく似ている。
口元が微かに緩んだのを自覚する。その時、微かに聞こえた気がした。奴がケタケタと、笑う声が。
奴は本当に世界を殺すだろうか。自分を殺そうとする世界を相手に。
『それすらもう、戯言ってことで』
本当に戯言だ。
寒い夜はすべての音を吸い込んで、そして初めから何もなかったかのように世界を塗り替える。
奴もいない。
僕もいない。
じゃあ、僕らは出会わなかった?
いや、それこそが戯言だ。
だから僕は待ち続ける。
いつしか奴が、世界を殺す日を。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
42
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

