monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
聲
…アリス。
…僕らの可愛いアリス。
僕のモノには決してなることのない、
愛しいアリス。
あぁ、ほらまた『聲』が聞こえる。
ひとつ、ひとつ、落としていく記憶。ひとつ、ふたつ、消えていく思い出。ひとつ、またひとつ、歪んでいく想い。ただ願うのは、たった一人の…アリスのこと。
どうか、幸せに。
どうか、生きて。
キミは、何も、悪くないのだから。
最期に触れたキミの頬は、青ざめて涙が伝って。それでもキミの体温は暖かかった。
そうか。
キミは生きることを望んだんだね。この残酷な現実で、痛みをずっと抱えながら、それでも生きていこうと決めたんだね。
キミの希みは、僕の幸せ。
『ごめん…ごめんなさい…』
泣かないで、愛しいアリス。
アリス、僕らのアリス。
キミが望むなら、僕らはいつだってキミの望む儘に。キミの優しさが、笑顔が僕らの…僕の幸せなのだから。
end.
…僕らの可愛いアリス。
僕のモノには決してなることのない、
愛しいアリス。
あぁ、ほらまた『聲』が聞こえる。
ひとつ、ひとつ、落としていく記憶。ひとつ、ふたつ、消えていく思い出。ひとつ、またひとつ、歪んでいく想い。ただ願うのは、たった一人の…アリスのこと。
どうか、幸せに。
どうか、生きて。
キミは、何も、悪くないのだから。
最期に触れたキミの頬は、青ざめて涙が伝って。それでもキミの体温は暖かかった。
そうか。
キミは生きることを望んだんだね。この残酷な現実で、痛みをずっと抱えながら、それでも生きていこうと決めたんだね。
キミの希みは、僕の幸せ。
『ごめん…ごめんなさい…』
泣かないで、愛しいアリス。
アリス、僕らのアリス。
キミが望むなら、僕らはいつだってキミの望む儘に。キミの優しさが、笑顔が僕らの…僕の幸せなのだから。
end.
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月蝕 2
「やっぱりぃ、アリス食べちゃいましょうよ~」
それは間延びした雰囲気とは合わない言葉。
「そうすれば、アリスはずっと一緒ですよ~」
「じゃが、それてアリスは幸せかのう?」
落ち着いた声が、その声を諫める。
「―――猫、貴方は本当にアリスを真実へと導くのですか?」
感情の欠落した声。
「この世界を創りだしたアリス。そしてこの世界の歪みはアリスの心。真実を知れば、この世界そのものも危うい」
それは的確に痛いところを指摘する。その声に周りは話を止めた。
「…僕らのアリス、彼女が望むなら」
静まった世界に、チェシャ猫の声はやけに大きく響いた。
肩につくくらいの黒髪。
緋色のエプロンドレスのよく似合う、少女。
それが、僕らのアリス。
僕らを生み出した、可愛いアリス。
「―――アリス、此処に長くは居ない方がいい」
珍しいチェシャ猫の意見に、亜莉子は足を止める。
「チェシャ猫?」
「この世界は歪んでいるから」
「…どうして、この世界は歪んでいるの?」
何も知らぬ表情で。
真っすぐな瞳で。
その優しい声で。
亜莉子は純粋に、残酷な言葉を吐く。
チェシャ猫は理由を口にしなかった。
「チェシャ猫?」
「………さぁ、シロウサギを追い掛けよう」
もう何度目か分からないその台詞に、亜莉子は少し呆れた表情をする。
「あなたはそればかりね、」
その姿に重なって、幼い少女を思い出す。
『チェシャ猫、あなたが私を導いて』
だからチェシャ猫は此処に居る。
何も知らないアリスを守りながら、導いていく。
「とにかく、進むしかないわけで…シロウサギの情報を集めなきゃ」
最も残酷な現実へ。
「そうでしょう?チェシャ猫」
チェシャ猫はいつものにんまり顔で答えた。
「僕らのアリス、君が望むなら」
アリス
僕らのアリス
あなたの腕を
足を
首を
声を
僕らにください
あなたを
傷つけるだけの
世界なら
捨ててしまって
ちぎれた体は
狂気に包まれて
穏やかに眠る
さぁ
覚めることのない
悪夢を
あなたに...
終
それは間延びした雰囲気とは合わない言葉。
「そうすれば、アリスはずっと一緒ですよ~」
「じゃが、それてアリスは幸せかのう?」
落ち着いた声が、その声を諫める。
「―――猫、貴方は本当にアリスを真実へと導くのですか?」
感情の欠落した声。
「この世界を創りだしたアリス。そしてこの世界の歪みはアリスの心。真実を知れば、この世界そのものも危うい」
それは的確に痛いところを指摘する。その声に周りは話を止めた。
「…僕らのアリス、彼女が望むなら」
静まった世界に、チェシャ猫の声はやけに大きく響いた。
肩につくくらいの黒髪。
緋色のエプロンドレスのよく似合う、少女。
それが、僕らのアリス。
僕らを生み出した、可愛いアリス。
「―――アリス、此処に長くは居ない方がいい」
珍しいチェシャ猫の意見に、亜莉子は足を止める。
「チェシャ猫?」
「この世界は歪んでいるから」
「…どうして、この世界は歪んでいるの?」
何も知らぬ表情で。
真っすぐな瞳で。
その優しい声で。
亜莉子は純粋に、残酷な言葉を吐く。
チェシャ猫は理由を口にしなかった。
「チェシャ猫?」
「………さぁ、シロウサギを追い掛けよう」
もう何度目か分からないその台詞に、亜莉子は少し呆れた表情をする。
「あなたはそればかりね、」
その姿に重なって、幼い少女を思い出す。
『チェシャ猫、あなたが私を導いて』
だからチェシャ猫は此処に居る。
何も知らないアリスを守りながら、導いていく。
「とにかく、進むしかないわけで…シロウサギの情報を集めなきゃ」
最も残酷な現実へ。
「そうでしょう?チェシャ猫」
チェシャ猫はいつものにんまり顔で答えた。
「僕らのアリス、君が望むなら」
アリス
僕らのアリス
あなたの腕を
足を
首を
声を
僕らにください
あなたを
傷つけるだけの
世界なら
捨ててしまって
ちぎれた体は
狂気に包まれて
穏やかに眠る
さぁ
覚めることのない
悪夢を
あなたに...
終
月蝕
ほら、あの夜と同じ月。
深くて昏い闇に、月は溶けて。
肩につくくらいの黒髪。
緋色のエプロンドレスを着た、幼い少女。
それが、僕らのアリス。
「チェシャ猫、私のお願い…聞いてくれる?」
少女の声に、チェシャ猫は応える代わりに一言。
「何だい、アリス」
少女はまるで未来を見透かすように、ゆっくりと言葉を言葉を紡ぐ。
「チェシャ猫、あなたが私を導いて」
それは少女の年令には凡そ似付かわしくない、大人びた口調。
「いづれ私は、みんなを忘れてしまう。世界を閉じて何もかもに蓋をする。でも…必ず真実と向かい合わなければならない時がやってくるでしょう」
幼い少女は手を伸ばし、屈んだチェシャ猫の頬に触れる。
「あなたたちを思い出す時、」
腫れた頬。
怯えた瞳。
「そして、忌まわしい記憶を思い出す時が来たら」
「アリス、」
「すべて忘れた私を…あなたが導いてね」
痛くて辛い、真実へと。
「――――僕らのアリス、君が望むなら」
そうして、アリスは消えた。
すべての痛みを吸い込んだこの世界に残ったのは、住人たちと数えきれない程の歪みだけ。
「どうして、それがあなたなの!?チェシャ猫」
女王は酷く不機嫌な様子でチェシャ猫に怒鳴った。
一方のチェシャ猫は、まるでそれに慣れてしまったかのように平然と笑っていた。
「さぁ?」
「それに、あなたが願いを聞いてしまったからアリスはっ…」
そう言って、女王は一旦言葉を切る。
そう、アリスはもう居ない。
「…アリスの望みなら、聞いてあげたいと思うのは当然だけれど…」
段々女王の声は小さくなっていく。
「僕らはアリスの意思は超えられない」
「解っているわ、そんなことっ」
女王は淡々と言うチェシャ猫に食って掛かる。
「けれど本当のことを知れば…アリスはまた傷ついてしまうわ。アリスはたくさん傷ついて、血を流して。だから、私たちはアリスを守ってきたの。それなのに…今度はアリスが壊れてしまうわ」
チェシャ猫は応えなかった。
相変わらず笑った顔でそれを聞き終えると、くるりと音も立てずに踵を返す。
それは一切重さを感じさせない動作。
「お待ちなさい。一つだけ、忠告してあげるわ」
女王はその容姿とは似付かわしくない大鎌を振って、チェシャ猫の首に突き付ける。
「アリスは私たちのアリス。あなたのアリスではないわ。そして未来永劫、あなたのアリスになることはない。―――その想い、捨てておきなさい」
チェシャ猫は応えなかった。
その表情は見えないが、やはりあの表情なのだろうと女王は思う。
「もし、それを望むと言うなら…私がその首を刎ねてさしあげるわ。―――猫の首なんて欲しくありませんけれど」
女王の言葉に、ようやくチェシャ猫は応えた。
「―――アリスは、僕らのアリス。そんなこと、解っているよ」
女王はしばらくして鎌を引いた。
「…そう、」
女王はチェシャ猫を止めなかった。
チェシャ猫も、女王を振り返ることはなかった。
続く。
深くて昏い闇に、月は溶けて。
肩につくくらいの黒髪。
緋色のエプロンドレスを着た、幼い少女。
それが、僕らのアリス。
「チェシャ猫、私のお願い…聞いてくれる?」
少女の声に、チェシャ猫は応える代わりに一言。
「何だい、アリス」
少女はまるで未来を見透かすように、ゆっくりと言葉を言葉を紡ぐ。
「チェシャ猫、あなたが私を導いて」
それは少女の年令には凡そ似付かわしくない、大人びた口調。
「いづれ私は、みんなを忘れてしまう。世界を閉じて何もかもに蓋をする。でも…必ず真実と向かい合わなければならない時がやってくるでしょう」
幼い少女は手を伸ばし、屈んだチェシャ猫の頬に触れる。
「あなたたちを思い出す時、」
腫れた頬。
怯えた瞳。
「そして、忌まわしい記憶を思い出す時が来たら」
「アリス、」
「すべて忘れた私を…あなたが導いてね」
痛くて辛い、真実へと。
「――――僕らのアリス、君が望むなら」
そうして、アリスは消えた。
すべての痛みを吸い込んだこの世界に残ったのは、住人たちと数えきれない程の歪みだけ。
「どうして、それがあなたなの!?チェシャ猫」
女王は酷く不機嫌な様子でチェシャ猫に怒鳴った。
一方のチェシャ猫は、まるでそれに慣れてしまったかのように平然と笑っていた。
「さぁ?」
「それに、あなたが願いを聞いてしまったからアリスはっ…」
そう言って、女王は一旦言葉を切る。
そう、アリスはもう居ない。
「…アリスの望みなら、聞いてあげたいと思うのは当然だけれど…」
段々女王の声は小さくなっていく。
「僕らはアリスの意思は超えられない」
「解っているわ、そんなことっ」
女王は淡々と言うチェシャ猫に食って掛かる。
「けれど本当のことを知れば…アリスはまた傷ついてしまうわ。アリスはたくさん傷ついて、血を流して。だから、私たちはアリスを守ってきたの。それなのに…今度はアリスが壊れてしまうわ」
チェシャ猫は応えなかった。
相変わらず笑った顔でそれを聞き終えると、くるりと音も立てずに踵を返す。
それは一切重さを感じさせない動作。
「お待ちなさい。一つだけ、忠告してあげるわ」
女王はその容姿とは似付かわしくない大鎌を振って、チェシャ猫の首に突き付ける。
「アリスは私たちのアリス。あなたのアリスではないわ。そして未来永劫、あなたのアリスになることはない。―――その想い、捨てておきなさい」
チェシャ猫は応えなかった。
その表情は見えないが、やはりあの表情なのだろうと女王は思う。
「もし、それを望むと言うなら…私がその首を刎ねてさしあげるわ。―――猫の首なんて欲しくありませんけれど」
女王の言葉に、ようやくチェシャ猫は応えた。
「―――アリスは、僕らのアリス。そんなこと、解っているよ」
女王はしばらくして鎌を引いた。
「…そう、」
女王はチェシャ猫を止めなかった。
チェシャ猫も、女王を振り返ることはなかった。
続く。
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年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。