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それは忘れてはいけないこと。

大切な右目が、導く光。





HDコレクション特典CDがぎゃーだったので、血迷ってみた(爆)魔王との一戦の後、奥州に戻った双竜の話。続きは折りたたみ↓↓

拍手[2回]

二人が揃って屋敷に戻った頃には既に夜明けを迎えていた。些か無茶はしたが、幸村と一戦交えたことは悪かったとは思わない。それは政宗はもとより小十郎も幸村を政宗の好敵手として理解しているが故だ。
「今回は何とも骨の折れる出来事だったぜ…」
「しかしながら、今件で学ぶこともまた多かったかと」
政宗の着替えを手伝いながら、小十郎は真面目に二の句を継ぐ。
「さ、腕を」
負の感情を手繰り寄せて具現化した第六天魔王との一戦に加え、幸村との一戦で更に傷を増やした政宗の手当てだ。当の小十郎は未だにボロボロの羽織を着たまま。そんなに慌てて手当せずとも、一気に悪化するような傷でもないと思う政宗だったが、こういう時は好きにさせて落ち着かせる意味も含めてされるがままだ。
「―――真田に、何をご覧になられましたか?」
まっすぐな幸村の瞳の向こうに見えたものは、その気質をそのまま映したように明るく快活な真田の兵士たち、恐らく甲斐の虎の魂を受け継いだ幸村の望む世が其処にはあった。
「…負けられねぇ」
それほどに。
「いや、負けたくねぇ、だな」
政宗は目を伏せて笑う。望む世にたどり着くにはまだ時間がかかるが、うかうかもしていられない。政宗にとってのそれは、急ぐという意味ではなく、しっかり歩んでいくという意志の再確認でもあった。手当てが済んだのか小十郎の手が離れて、政宗は再び目を開ける。

「…小十郎、」

名を呼ばれ、手を止めると政宗のまっすぐな視線とぶつかって。
「また俺が大事なことを見失いそうになったら、お前が思い出させてくれ」
昔からいつだって、大事なことに気づかせてくれたのはこの右目だ。時に諫め、時にその命を懸けて、暗闇の光になってくれる。政宗は小十郎の襟元を引く、小十郎はその引力に従った。

「お前は俺の始まり、だからな」

そう苦笑する政宗に、
「お許しを、」
そう呟いて、軽く政宗の口唇に触れるだけの接吻を。



「…この右目が貴方の右目である限り、小十郎はいついかなる時も貴方のお傍に…」
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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