monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
君が、…君が、
見えない。
むせ返るような血の匂い。
敵をすべて凪ぎ払った後、
戦場に立っていたのは自分だけだった。
「佐助っ…」
名を呼べども佐助は姿を現さなかった。
だから、繰り返し不安を滲ませながらその名を呼ぶ。
遠くに居るだけかもしれない。
まだ見えないところで戦っているのかもしれない。
「さす、」
咄嗟に感じた気配に振り返る。
見慣れた佐助の背中。
ほっと安堵の息をついたのと同時。
そね身体に突き刺さる幾多の矢。目の前で人が刺されるなど、
何度も見てきた光景のはずなのに。
ドクン、ドクン。
こんなにも心音が煩くて、
こんなにも心が冷えていく。
大型手裏剣で支えた身体からボタボタと雨粒のように血が落ちて、
やがてそれはグラリと地面に倒れた。
「…っ、佐助ェェェェっっ!!!」
はっとして抱き起こすと、
血の気のない顔が自分を安堵させるように笑って。
「…旦、那、…平気?」
言葉が出なくて頷くと、
力の無い手がくしゃりと優しく髪を撫でた。
「…最後、まで…気、抜いた、ら…だめ、で、しょ…」
世話の焼ける主人だなぁ。
と、困ったように笑う。
無事を確かめるように何度も何度も手で触れて。
「―――…帰るぞ、佐助…」
口にできたのはそれだけだった。
言いたいことはいっぱいあった。
怒ってやりたかった。
でもそのどれもすることはできずに。
ただ、佐助はゆっくりと頷いた。
あ、でも鳥は使えそうにないな、旦那一人くらいだったらひとっ飛びなのに。
こんな状態でもおどける佐助を制し、鉢巻きを解く。
佐助の負っている傷も酷い箇所も、
一つや二つではないのだ。
鉢巻きをきつく縛って止血をしながら、
何とかその身体を引き摺って歩きだす。
「…しっかりしろ、佐助…」
仲間と合流する頃には、
既に佐助は意識を失っていた。
「幸村よ、狼狽えるでない」
たしなめられた言葉も今日ばかりは頭に入らない。
屋敷に着くなり大急ぎで医療班に連れていかれた佐助を追う。
今は、少しでも離れることが怖い。
「…幸村様、」
声を掛けられたときには既に医療班は下がっていた。
部屋の隅でうずくまっていた身体を引き摺り、
佐助の傍らに腰を下ろす。
「…早く、目を覚ませ…」
立てた片膝を抱えて、強く目を閉じる。
口をついて出た言葉は小さな小さな祈りの言葉だった。
君が、君が。続きます。
今回は幸村の話。
むせ返るような血の匂い。
敵をすべて凪ぎ払った後、
戦場に立っていたのは自分だけだった。
「佐助っ…」
名を呼べども佐助は姿を現さなかった。
だから、繰り返し不安を滲ませながらその名を呼ぶ。
遠くに居るだけかもしれない。
まだ見えないところで戦っているのかもしれない。
「さす、」
咄嗟に感じた気配に振り返る。
見慣れた佐助の背中。
ほっと安堵の息をついたのと同時。
そね身体に突き刺さる幾多の矢。目の前で人が刺されるなど、
何度も見てきた光景のはずなのに。
ドクン、ドクン。
こんなにも心音が煩くて、
こんなにも心が冷えていく。
大型手裏剣で支えた身体からボタボタと雨粒のように血が落ちて、
やがてそれはグラリと地面に倒れた。
「…っ、佐助ェェェェっっ!!!」
はっとして抱き起こすと、
血の気のない顔が自分を安堵させるように笑って。
「…旦、那、…平気?」
言葉が出なくて頷くと、
力の無い手がくしゃりと優しく髪を撫でた。
「…最後、まで…気、抜いた、ら…だめ、で、しょ…」
世話の焼ける主人だなぁ。
と、困ったように笑う。
無事を確かめるように何度も何度も手で触れて。
「―――…帰るぞ、佐助…」
口にできたのはそれだけだった。
言いたいことはいっぱいあった。
怒ってやりたかった。
でもそのどれもすることはできずに。
ただ、佐助はゆっくりと頷いた。
あ、でも鳥は使えそうにないな、旦那一人くらいだったらひとっ飛びなのに。
こんな状態でもおどける佐助を制し、鉢巻きを解く。
佐助の負っている傷も酷い箇所も、
一つや二つではないのだ。
鉢巻きをきつく縛って止血をしながら、
何とかその身体を引き摺って歩きだす。
「…しっかりしろ、佐助…」
仲間と合流する頃には、
既に佐助は意識を失っていた。
「幸村よ、狼狽えるでない」
たしなめられた言葉も今日ばかりは頭に入らない。
屋敷に着くなり大急ぎで医療班に連れていかれた佐助を追う。
今は、少しでも離れることが怖い。
「…幸村様、」
声を掛けられたときには既に医療班は下がっていた。
部屋の隅でうずくまっていた身体を引き摺り、
佐助の傍らに腰を下ろす。
「…早く、目を覚ませ…」
立てた片膝を抱えて、強く目を閉じる。
口をついて出た言葉は小さな小さな祈りの言葉だった。
君が、君が。続きます。
今回は幸村の話。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。