monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
no beside
追い風で聞こえた呟き。
尊大で口が悪い少年の、ひねくれた言葉で固められた本音が、
聞こえた気がした。
『no beside』
突然吹いた熱風に、鉱石たちは動きを止めた。
「…ウザいよ、」
黒髪に深い臙脂の瞳。不機嫌な感情を一片も隠さず、ナナオリは言った。三日月の様に湾曲した、刀というには少し特殊な格好の刀。熱風の理由だとでも言うように熱で刀の形が揺らいで見える。
「…鉱石の主、なのか?」
レイヴンが呟く。突然現れたナナオリと面識があるものはキングを除いていなかった。だからこそ、ナナオリの実力を知っているはずもなく。
「これだけ人数が居て、どうして僕が出なきゃいけないわけ」
呆気に取られている間に迫ったトランプを軽く刀の一振りで消去。
「興味ないんだけど、」
ウンザリした表情のナナオリの傍らに立つ男。
「鉱石の主だろ、我慢しなさい」
男は軽くナナオリの頭を撫でた。すぐにナナオリはその手を払ったが。
「よう、ラズ」
一人しか呼ばない愛称に、ラピスラズリは驚いた表情をした。
「ルビー、」
その反応に男――ルビーは笑った。
「とんでもない主だな、」
「口が悪いんだ、大目にみてやってくれ」
率直なガーネットの言葉にもルビーは苦笑しただけだった。
ナナオリの口が悪いのは今に始まったことではない。ルビーと出会った当初から、それは遺憾なく発揮されていた。面倒見の良さには定評があるルビーでさえ、正直嫌だと思ったほど。
「使えないヤツはイラナイ」
ルビーを見て一言。
それが、二人の出会いだった。
口調は常に命令形。会話というよりは一方的。ナナオリはそういう扱いをした。始めは不服だったルビーも事務的に割り切るようになった。
そんな日々を繰り返していたところに起こった波紋。
「…眠れない、だけだ」
戦闘中に糸が切れたように意識を失ったナナオリが、珍しく強気をなくした声でそう言った。思い返せば、ルビーも度々欠伸を噛み殺したようにしているのを見たことがある。だが理由を尋ねると口を閉ざす。それは頑ななほどに。
何かがあったというのは明白で、でもそれを聞くのは憚られて。傷を隠すように自分の身体を抱きしめるナナオリの背中に、自分の中で起こり始めている何らかの変化をルビーは感じ取っていた。
ラピスラズリとルビーの会話を特に興味もなく聞いていたナナオリだったが、やがてカクンと体勢を崩した。
「ナナ、」
ルビーは小さく主の名を呼んで、慣れた様子で倒れるナナオリを抱きとめた。そして、小柄な身体を軽く抱き上げる。
「口は悪いが、ナナオリがお前さんたちを裏切ることは絶対にない」
そう笑って言い切るルビーに、ラピスラズリも笑う。
「(絆が)強いんですね、」
ラピスラズリの言葉に、
「…俺は、ナナオリの傍を離れられねーから」
ルビーは淡い笑みに変えて答えた。
「…俺はお前に酷いことをする」
負傷したナナオリを腕の中に閉じこめる。もがいて抵抗するのわ抑えつけて、ルビーは言った。
「離、せっ…」
「俺の処分は好きにしてくれていい」
傷の痛みに表情を歪ませながら、ナナオリは抵抗をやめない。
「な、に」
「…でも"コレ"じゃあ、繋がってないのと同じだ」
ルビーの苦しげな声に、ナナオリは手を止めた。ルビーの手がナナオリの視界を覆って、額が触れる。ナナオリはぎゅっと強く目を閉じた。
深い奥底に押し込めた醜いもの。
どす黒くて痛いいっそ忘れてしまいたい過去。
それに触れてしまった。
気づいてしまった。
「…だからって訳じゃないけど」
以来、ナナオリはルビーの傍では眠るようになった。醜く深い傷がまるで二人を繋ぐように。
追い風で聞こえた呟き。
「…お前が僕の最期を見届けろ、」
(だから、死ぬまで傍に居て)
尊大で口が悪い少年の、ひねくれた言葉で固められた本音が、
「必ずだ、」
(消えて、しまわないで)
聞こえた気がした。
尊大で口が悪い少年の、ひねくれた言葉で固められた本音が、
聞こえた気がした。
『no beside』
突然吹いた熱風に、鉱石たちは動きを止めた。
「…ウザいよ、」
黒髪に深い臙脂の瞳。不機嫌な感情を一片も隠さず、ナナオリは言った。三日月の様に湾曲した、刀というには少し特殊な格好の刀。熱風の理由だとでも言うように熱で刀の形が揺らいで見える。
「…鉱石の主、なのか?」
レイヴンが呟く。突然現れたナナオリと面識があるものはキングを除いていなかった。だからこそ、ナナオリの実力を知っているはずもなく。
「これだけ人数が居て、どうして僕が出なきゃいけないわけ」
呆気に取られている間に迫ったトランプを軽く刀の一振りで消去。
「興味ないんだけど、」
ウンザリした表情のナナオリの傍らに立つ男。
「鉱石の主だろ、我慢しなさい」
男は軽くナナオリの頭を撫でた。すぐにナナオリはその手を払ったが。
「よう、ラズ」
一人しか呼ばない愛称に、ラピスラズリは驚いた表情をした。
「ルビー、」
その反応に男――ルビーは笑った。
「とんでもない主だな、」
「口が悪いんだ、大目にみてやってくれ」
率直なガーネットの言葉にもルビーは苦笑しただけだった。
ナナオリの口が悪いのは今に始まったことではない。ルビーと出会った当初から、それは遺憾なく発揮されていた。面倒見の良さには定評があるルビーでさえ、正直嫌だと思ったほど。
「使えないヤツはイラナイ」
ルビーを見て一言。
それが、二人の出会いだった。
口調は常に命令形。会話というよりは一方的。ナナオリはそういう扱いをした。始めは不服だったルビーも事務的に割り切るようになった。
そんな日々を繰り返していたところに起こった波紋。
「…眠れない、だけだ」
戦闘中に糸が切れたように意識を失ったナナオリが、珍しく強気をなくした声でそう言った。思い返せば、ルビーも度々欠伸を噛み殺したようにしているのを見たことがある。だが理由を尋ねると口を閉ざす。それは頑ななほどに。
何かがあったというのは明白で、でもそれを聞くのは憚られて。傷を隠すように自分の身体を抱きしめるナナオリの背中に、自分の中で起こり始めている何らかの変化をルビーは感じ取っていた。
ラピスラズリとルビーの会話を特に興味もなく聞いていたナナオリだったが、やがてカクンと体勢を崩した。
「ナナ、」
ルビーは小さく主の名を呼んで、慣れた様子で倒れるナナオリを抱きとめた。そして、小柄な身体を軽く抱き上げる。
「口は悪いが、ナナオリがお前さんたちを裏切ることは絶対にない」
そう笑って言い切るルビーに、ラピスラズリも笑う。
「(絆が)強いんですね、」
ラピスラズリの言葉に、
「…俺は、ナナオリの傍を離れられねーから」
ルビーは淡い笑みに変えて答えた。
「…俺はお前に酷いことをする」
負傷したナナオリを腕の中に閉じこめる。もがいて抵抗するのわ抑えつけて、ルビーは言った。
「離、せっ…」
「俺の処分は好きにしてくれていい」
傷の痛みに表情を歪ませながら、ナナオリは抵抗をやめない。
「な、に」
「…でも"コレ"じゃあ、繋がってないのと同じだ」
ルビーの苦しげな声に、ナナオリは手を止めた。ルビーの手がナナオリの視界を覆って、額が触れる。ナナオリはぎゅっと強く目を閉じた。
深い奥底に押し込めた醜いもの。
どす黒くて痛いいっそ忘れてしまいたい過去。
それに触れてしまった。
気づいてしまった。
「…だからって訳じゃないけど」
以来、ナナオリはルビーの傍では眠るようになった。醜く深い傷がまるで二人を繋ぐように。
追い風で聞こえた呟き。
「…お前が僕の最期を見届けろ、」
(だから、死ぬまで傍に居て)
尊大で口が悪い少年の、ひねくれた言葉で固められた本音が、
「必ずだ、」
(消えて、しまわないで)
聞こえた気がした。
PR
この記事にコメントする
八人め!
八人目の鉱石の主の登場です!残るは四人…といいつつ、本来主人公であるはずの女の子が未だに出てないとは何事でしょうか?(乾笑)
- 水城夕楼
- 2007/11/11(Sun)14:38:09
- 編集
この記事へのトラックバック
- この記事にトラックバックする
カレンダー
カテゴリー
最新記事
(02/10)
(05/06)
(03/21)
(02/23)
(01/13)
プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。