monocube
トリプルダウンアンソロジー★
僕は歩いている。しっかりと地面を踏みしめて、旅をしている。旅の理由はそんな大層なものじゃない。ただ漠然と、こう思ったから。
『このままじゃ、食費どころか生活費自体が底をつく』
危機感を持ったのはここ最近の話だが、ひとつの所に留まるのは危険だ。だから色んな都市や街を転々とし、ギルドの仕事をこなしている。僕一人ならさほど苦労はない。まぁ、書物欲しさに食を抜くことはままあるが。問題は。
「ししょ~★」
僕の後をついてくる旅仲間。将来有望と踏んで認めた僕の唯一の弟子だ。
おっと、自己紹介が遅れたが僕は小さいなりだが局地的には有名な魔法使いなのだ。
「何だかとってもいい匂い~(*´▽`*)v」
匂いにひかれてふらふらと歩きだす弟子。
「足元には気をつけ…」
「きゃんっ(>×<)」
「って言ってるそばから…」
僕は額を押さえてがっくり。普段は明るく元気なのだが、食物が絡むと人が変わったりする。以前に節約と食費をケチった時のこと、空腹に暴走し鎮火までに小一時間はかかった。あの苦い記憶は忘れない。それさえ気を付ければ幸いにも酷い目には遭っていない。だが、二人旅とは些か心許なくはある。雇うのは面倒だ。
「その辺に仲間にできそうな人落ちてないかなぁ…」
擦り剥いて尚、匂いの方向に進む弟子を止める。放したらどこまで行くのか興味は尽きないが、仲間を減らすのは避けたい。
「これ、使います?」
小瓶を渡してきた、ローブの人。研究者、か…?
「遠慮せず。薬師(くすし)なんですぐにまた作れますから」
薬師の言葉に甘えて小瓶を受け取り、擦り傷にかけてみる。
「ししょ~、痛くないです~」
瞬く間に傷が消えた。それを見て、ふと過る欲。
「もしかして、回復薬とか状態変化を無効化できる薬とか作れます?」
「薬師ですから、」
「モンスター避けスプレーとかライフボトルとかも!?」
「はぁ、薬師ですから」
薬師の手を握って上下に振り回す。見つけた!旅の仲間。
「一緒に旅しません?」
にっこり笑う笑顔に拒否権はナシ。
「研究好きなんスけど、大丈夫?」
「大丈夫っスΣd(≧∀≦)」
旅仲間は三人(一部強制)。以前より少しは多く稼げるかな?
その認識が甘かったことに気付くのはすぐ先の話。
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プロフィール
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。