monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
いつもならとうに見えるはずの姿が見えない。
膝をついて寄り添った時に、はた、と気付く。
暦を確認して、現状に納得した。
一日止みそうにない雨は、静かに降っていて。
そしてこの雨は何よりも悲しい色をしている。
※きっと竜が泣き続ける一日は、母親が自分を見放した日。続きは折りたたみ↓↓
暦を確認して、現状に納得した。
一日止みそうにない雨は、静かに降っていて。
そしてこの雨は何よりも悲しい色をしている。
※きっと竜が泣き続ける一日は、母親が自分を見放した日。続きは折りたたみ↓↓
「片倉様、」
心配そうな兵士の声に苦笑する。
いつもとは違う屋敷の空気を皆が敏感に感じ取っているのだ。
「案ずることはねぇさ、今日はそっとしておくのがいい」
そう言うと、おとなしくなってしまった兵士が小さく頷いて去っていった。
縁から澄んだ空を見上げる。
梅雨の合間にこんなに綺麗に空は綺麗に澄んで。
それなのに、あの雨が止む気配はない。
今日は仕事にならないな、と明日の配分を考える。
きっと一日、自分を放してはくれまい。
(…いや、むしろ離せないのは俺の方だな…)
また苦笑して、静かに襖を開ける。
「政宗様、」
そう声を掛けたのだが返事はない。
傍に寄って膝をつけば、子どものように腕が伸びてきて。
普段ではみせない弱くて頼りない身体を抱きとめる。
肩から落ちた上着の音がやけに耳に障った。
見上げる主の眦を指の腹で拭うも、零れ落ちる滴。
やがて自分の胸に頭をうずめるように促して優しく頭を撫でた。
この主は、年に一度一日中泣き続ける日が、ある。
それは本人の意思とは関係なく溢れてこぼれて。
随分と体力が持っていかれるのだと、聞いたことがある。
そんな日は何をするでもなく何をさせるでもなく、ただ傍に居ることにしている。
それが常だ。
(…本来ならば、まだ天下を獲るには幼く、弱い…)
それでも伸ばされる腕を、抱きとめる温もりを愛しいと思ってしまう自分に呆れる。
しっかりと着物を掴む主の髪に自分の指をさしいれて。
「…俺、は、」
小さく呟くような声。
「ここに、居て…い、のか?」
それは独白に近い呟き。
髪に触れる手を解かずに目を伏せる。
(泣いてばかりの、幼い子ども…)
不思議とこの雨は昔のことを思い出させた。
「…政宗様以外の誰かに仕えろ、と申されるのですか?」
此処に主が居ないとするなら。
今頃自分がどこで何をしていたのかなど考えようとも思わない。
「小十郎が望むのは政宗様のお傍のみ、」
腕の中の身体が小さく震えた気がした。
「…今、だけですよ」
こんな弱音は。
「次にそんなことを口にされたら…当分は小十郎の小言です」
穏やかな声ではなくぴしゃりと言えば、肩が震えている理由が笑っているからだと気がついた。
「…そりゃ、勘弁だな」
返ってきた声は先刻よりもずっと感情の滲んだ声で。
正直安堵した。
「…お休みになる時は目を冷やさねばなりませんね」
腫れて使い物にならない、と言えば、「右目があるからいい」と素っ気無く言われた。
それに少なからず気分を良くしている自分がいて。
(…本当に、困ったものだ…)
身体を起こす主の目に手で目隠しをして(その泣き顔を見ないように)、額に口付ける。
その止まない雨が、少しでも早く乾くように祈って。
心配そうな兵士の声に苦笑する。
いつもとは違う屋敷の空気を皆が敏感に感じ取っているのだ。
「案ずることはねぇさ、今日はそっとしておくのがいい」
そう言うと、おとなしくなってしまった兵士が小さく頷いて去っていった。
縁から澄んだ空を見上げる。
梅雨の合間にこんなに綺麗に空は綺麗に澄んで。
それなのに、あの雨が止む気配はない。
今日は仕事にならないな、と明日の配分を考える。
きっと一日、自分を放してはくれまい。
(…いや、むしろ離せないのは俺の方だな…)
また苦笑して、静かに襖を開ける。
「政宗様、」
そう声を掛けたのだが返事はない。
傍に寄って膝をつけば、子どものように腕が伸びてきて。
普段ではみせない弱くて頼りない身体を抱きとめる。
肩から落ちた上着の音がやけに耳に障った。
見上げる主の眦を指の腹で拭うも、零れ落ちる滴。
やがて自分の胸に頭をうずめるように促して優しく頭を撫でた。
この主は、年に一度一日中泣き続ける日が、ある。
それは本人の意思とは関係なく溢れてこぼれて。
随分と体力が持っていかれるのだと、聞いたことがある。
そんな日は何をするでもなく何をさせるでもなく、ただ傍に居ることにしている。
それが常だ。
(…本来ならば、まだ天下を獲るには幼く、弱い…)
それでも伸ばされる腕を、抱きとめる温もりを愛しいと思ってしまう自分に呆れる。
しっかりと着物を掴む主の髪に自分の指をさしいれて。
「…俺、は、」
小さく呟くような声。
「ここに、居て…い、のか?」
それは独白に近い呟き。
髪に触れる手を解かずに目を伏せる。
(泣いてばかりの、幼い子ども…)
不思議とこの雨は昔のことを思い出させた。
「…政宗様以外の誰かに仕えろ、と申されるのですか?」
此処に主が居ないとするなら。
今頃自分がどこで何をしていたのかなど考えようとも思わない。
「小十郎が望むのは政宗様のお傍のみ、」
腕の中の身体が小さく震えた気がした。
「…今、だけですよ」
こんな弱音は。
「次にそんなことを口にされたら…当分は小十郎の小言です」
穏やかな声ではなくぴしゃりと言えば、肩が震えている理由が笑っているからだと気がついた。
「…そりゃ、勘弁だな」
返ってきた声は先刻よりもずっと感情の滲んだ声で。
正直安堵した。
「…お休みになる時は目を冷やさねばなりませんね」
腫れて使い物にならない、と言えば、「右目があるからいい」と素っ気無く言われた。
それに少なからず気分を良くしている自分がいて。
(…本当に、困ったものだ…)
身体を起こす主の目に手で目隠しをして(その泣き顔を見ないように)、額に口付ける。
その止まない雨が、少しでも早く乾くように祈って。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。