ｍｏｎｏｃｕｂｅ
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(ｲﾛ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ﾅｶ)は昏(ｸﾗ)く底なしの闇色(ﾓﾉｸﾛ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
おむすびと玉子焼き事情
ふと思いついた、小十郎と佐助の食事情。
伊達の屋敷に滞在する真田主従に夜食を作る話。
※小十佐…のつもりだったけど、見様によっては小政にも見えなくはない？続きは折りたたみ↓↓
小十郎は自室にへ戻る最中、主の座敷にぼんやりと灯りを確めて、自室に戻る足を台所に向けた。廊下を進みながら一度足を止めたのは中庭の気配に気付いたからだ。小十郎は少し呆れたように笑う。そうして台所に入ると、袖を襷掛け作業にとりかかる。こういう時に主が何を欲しがるのかは幼い頃から変わらず小十郎は心得ている。
「―――何突っ立ってやがる。何か用か？」
手を止めて戸を見やれば、素直に佐助が顔をだした出した。
「んー…用ってか、ちょっと台所借りれないかと思って来たんだけど…」
「安心しろ、真田の分もついでに作ってやる」
小十郎の言葉に佐助は意外そうに目を丸くする。
「あれ？、気付いてたの？」
佐助が知る限り、中庭で静かに鍛練を始めた幸村に近づいてきた気配はなかったはずだ。
「どうやら寝付けないのはお互い様のようだしな」
「…ふぅん、」
小十郎が笑いながら答えると、もしかしたらこの男は屋敷の気配をすべて察しているのかもしれない、と佐助は思った。
「あ、俺様も手伝うよ」
そう小十郎の隣に佐助は並んで、袖をまくる。すると、あっさり止められた。
「仮にも客人にそんなことさせるわけにはいかねぇだろ」
「律儀だねぇ」
佐助は傍らに積まれた木箱に腰を下ろした。そしてしばらく小十郎を眺めて、作っているものが何かわかり始めたところで再び口を開く。
「塩むすびと玉子焼き？」
「あぁ、政宗様はこの二品が好きでな…夜食に作るのは決まってこれだ」
小十郎の声は心なしか楽しそうで。佐助は腰を上げて手元を覗き込んだ。
「あれ？だし巻き玉子じゃないんだ」
「政宗様は甘く焼いた玉子焼きがお好きでな」
皿に綺麗に塩むすびと玉子焼きが盛られていく。小十郎が料理がうまいと聞いたことはなかった佐助だが(むしろ料理は独眼竜の領分だ)、美味しそうに見える。
「小十郎さんはさ、玉子焼き好きなの？」
唐突な質問に小十郎の手が止まる。
「…まぁ、嫌いではないな」
「じゃあ、玉子焼き甘いの好き？それともだし巻き玉子派？」
間髪入れずに問われた小十郎は残りのご飯を握りながら、少し思案してから答えた。
「…俺が政宗様に甘い玉子焼きをだし続けたのは、俺がうまいと感じた玉子焼きがきつね色の甘い玉子焼きだったからだ」
最後の塩むすびは他よりも小さい塊になっていく。
「…昔の政宗様は食も細く、暖かいものが苦手で…塩むすびも苦労したが、」
(昔話する時は…親みたいな顔をする。お館様とはまた違う親の顔。それにヤキモチだなんて、俺様カッコ悪い…)
相づちも打たずにそっぽを向く佐助に。
「おい、」
振り替えって突き出された塩むすびを条件反射で一口。
「…うめぇだろ？」
自信満々の小十郎の塩むすびは、悔しいがとてもうまい。そしてその塩むすびを小十郎も一口。
「ちょっ…！」
佐助の言葉に、また小十郎は佐助の口元に食べかけの塩むすびを寄越す。それを今度は少しの躊躇いの後食べる佐助に満足げに小十郎が笑う。
(まるで餌付けでもしてる気分だな…こいつは嫌じゃなけりゃ食べるからな…)
「…あのさ、やっぱあとで台所貸して」
「ん？真田の好物でも作るのか？」
手のについたご飯つぶを食べながら答える小十郎に。
「アンタの好きな甘い玉子焼き、作るんだよ」
言ってすぐに佐助は、冷めないうちにと幸村用の皿を持って台所を出ていく。逃げるような様子に小十郎は笑うと、自分も政宗の座敷へと足を向ける。明日あたり一雨来そうな空模様に揺らぐ心を落ち着けられたらいいのだが。
夜の屋敷に灯り三つ。
台所に戻った小十郎が、きつね色の甘い玉子焼きにありつくのはそれから四半刻のこと。
※四半刻…30分
伊達の屋敷に滞在する真田主従に夜食を作る話。
※小十佐…のつもりだったけど、見様によっては小政にも見えなくはない？続きは折りたたみ↓↓
[0回]
小十郎は自室にへ戻る最中、主の座敷にぼんやりと灯りを確めて、自室に戻る足を台所に向けた。廊下を進みながら一度足を止めたのは中庭の気配に気付いたからだ。小十郎は少し呆れたように笑う。そうして台所に入ると、袖を襷掛け作業にとりかかる。こういう時に主が何を欲しがるのかは幼い頃から変わらず小十郎は心得ている。
「―――何突っ立ってやがる。何か用か？」
手を止めて戸を見やれば、素直に佐助が顔をだした出した。
「んー…用ってか、ちょっと台所借りれないかと思って来たんだけど…」
「安心しろ、真田の分もついでに作ってやる」
小十郎の言葉に佐助は意外そうに目を丸くする。
「あれ？、気付いてたの？」
佐助が知る限り、中庭で静かに鍛練を始めた幸村に近づいてきた気配はなかったはずだ。
「どうやら寝付けないのはお互い様のようだしな」
「…ふぅん、」
小十郎が笑いながら答えると、もしかしたらこの男は屋敷の気配をすべて察しているのかもしれない、と佐助は思った。
「あ、俺様も手伝うよ」
そう小十郎の隣に佐助は並んで、袖をまくる。すると、あっさり止められた。
「仮にも客人にそんなことさせるわけにはいかねぇだろ」
「律儀だねぇ」
佐助は傍らに積まれた木箱に腰を下ろした。そしてしばらく小十郎を眺めて、作っているものが何かわかり始めたところで再び口を開く。
「塩むすびと玉子焼き？」
「あぁ、政宗様はこの二品が好きでな…夜食に作るのは決まってこれだ」
小十郎の声は心なしか楽しそうで。佐助は腰を上げて手元を覗き込んだ。
「あれ？だし巻き玉子じゃないんだ」
「政宗様は甘く焼いた玉子焼きがお好きでな」
皿に綺麗に塩むすびと玉子焼きが盛られていく。小十郎が料理がうまいと聞いたことはなかった佐助だが(むしろ料理は独眼竜の領分だ)、美味しそうに見える。
「小十郎さんはさ、玉子焼き好きなの？」
唐突な質問に小十郎の手が止まる。
「…まぁ、嫌いではないな」
「じゃあ、玉子焼き甘いの好き？それともだし巻き玉子派？」
間髪入れずに問われた小十郎は残りのご飯を握りながら、少し思案してから答えた。
「…俺が政宗様に甘い玉子焼きをだし続けたのは、俺がうまいと感じた玉子焼きがきつね色の甘い玉子焼きだったからだ」
最後の塩むすびは他よりも小さい塊になっていく。
「…昔の政宗様は食も細く、暖かいものが苦手で…塩むすびも苦労したが、」
(昔話する時は…親みたいな顔をする。お館様とはまた違う親の顔。それにヤキモチだなんて、俺様カッコ悪い…)
相づちも打たずにそっぽを向く佐助に。
「おい、」
振り替えって突き出された塩むすびを条件反射で一口。
「…うめぇだろ？」
自信満々の小十郎の塩むすびは、悔しいがとてもうまい。そしてその塩むすびを小十郎も一口。
「ちょっ…！」
佐助の言葉に、また小十郎は佐助の口元に食べかけの塩むすびを寄越す。それを今度は少しの躊躇いの後食べる佐助に満足げに小十郎が笑う。
(まるで餌付けでもしてる気分だな…こいつは嫌じゃなけりゃ食べるからな…)
「…あのさ、やっぱあとで台所貸して」
「ん？真田の好物でも作るのか？」
手のについたご飯つぶを食べながら答える小十郎に。
「アンタの好きな甘い玉子焼き、作るんだよ」
言ってすぐに佐助は、冷めないうちにと幸村用の皿を持って台所を出ていく。逃げるような様子に小十郎は笑うと、自分も政宗の座敷へと足を向ける。明日あたり一雨来そうな空模様に揺らぐ心を落ち着けられたらいいのだが。
夜の屋敷に灯り三つ。
台所に戻った小十郎が、きつね色の甘い玉子焼きにありつくのはそれから四半刻のこと。
※四半刻…30分
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プロフィール
ＨＮ：
瑞季ゆたか
年齢：
40
性別：
女性
誕生日：
1984/02/10
職業：
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味：
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介：
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽：Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん（自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本：長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別！僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中！某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽：Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん（自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本：長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別！僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中！某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。