monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
むっつりスケベというのはつまりこういうことか。
射抜く=射貫く
永月さんと舞台の帰りに文章のあれこれについてトークを展開していた際に、何の神の悪戯か(自分がむっつりスケベだからだよ★)ポンとネタが降臨したので、書いてみた。
続きは折りたたみ↓↓
「ふー…」
血の匂いに満ちた戦場でゆっくりと息を吐く。その行為は一見して冷静になるための行為ともとれるだろうが、事実そうではない。本当の真剣勝負を渇望する心を抑え、主への告げることのない想いを秘め、そうして激情を全身で吐き出す凶王を見、少し羨ましくも思うのだ。
(このすべてを吐露できたら、どれだけ)
考えて首を振る。ない可能性を突き詰める行為はただの時間の浪費に過ぎない。日は高く、血の匂いは咽かえってその濃さを増す。そしてそれは陽炎のように揺れて嗤う。
『そうか、卿はそれを以て忠義とするか。その醜い獣が卿の善良な皮を喰い破るその刻を…しばし待つとしよう』
男は纏わりつくような穏やかな声でそう言った。内に秘めたる黒い獣は、それに応えるように喉を鳴らした。
「…小十郎、そっちはどうだ」
「既に制圧は済んだかと」
口ほどにもなかったな、と少し物足りなさそうに呟く。その口唇が何とも甘美に見えたのは気のせいだろうか。
「戻るぜ、小十郎…ついて来い」
「御意」
こちらの想いなど知らずに歩き出す背中を追う。その背中は立派になった奥州筆頭のそれで。
(喜ぶべきなのだ、この背中が俺の生きる道をも導いてくれる)
凪ぐ風は熱く、喉がチリチリと渇きを訴える。
『卿ほどに自らを戒めている人間が、一番望む欲にまみれた時、魅せる姿は…さて、どれほどにこの心を慰めてくれるものか』
戦場が、真剣勝負への欲が、昂って鋭さを増した感覚に拍車をかける。ドクン、と脈打つ獣の鼓動。あの白く柔らかい首筋を噛んで、傷一つないその背骨の窪みに舌を這わせて。
「どうした?小十郎」
「…いえ、」
「この程度でバテたわけじゃねぇだろ?」
笑うその頬に手を伸ばして、掴んだ手首の感触に眩暈がする。このまま手首を押さえつけて、押し倒して、鎖骨に口づけて、すべて隅々まで暴いたら、どんな表情をするのだろうか。
「御免、」
頬に跳ねた血を拭う。細い腰を撫でて、下肢の抵抗すら奪って。耳を甘噛みしたらどんな声で啼くのだろうか。
「御顔に返り血などつけていては、恰好がつきませぬ故」
「…っ、言えば自分で拭える」
腕から逃れるように頬を擦りながら再び歩いていく。すべてを知っているのは自分だけでいい。一瞬たりとも離れることなく、その目が追うのは、その目に映るのは。
(―――俺だけだったらいいのに、)
ジャリ、大地を踏みしめその背を追った。
永月さんと舞台の帰りに文章のあれこれについてトークを展開していた際に、何の神の悪戯か(自分がむっつりスケベだからだよ★)ポンとネタが降臨したので、書いてみた。
続きは折りたたみ↓↓
「ふー…」
血の匂いに満ちた戦場でゆっくりと息を吐く。その行為は一見して冷静になるための行為ともとれるだろうが、事実そうではない。本当の真剣勝負を渇望する心を抑え、主への告げることのない想いを秘め、そうして激情を全身で吐き出す凶王を見、少し羨ましくも思うのだ。
(このすべてを吐露できたら、どれだけ)
考えて首を振る。ない可能性を突き詰める行為はただの時間の浪費に過ぎない。日は高く、血の匂いは咽かえってその濃さを増す。そしてそれは陽炎のように揺れて嗤う。
『そうか、卿はそれを以て忠義とするか。その醜い獣が卿の善良な皮を喰い破るその刻を…しばし待つとしよう』
男は纏わりつくような穏やかな声でそう言った。内に秘めたる黒い獣は、それに応えるように喉を鳴らした。
「…小十郎、そっちはどうだ」
「既に制圧は済んだかと」
口ほどにもなかったな、と少し物足りなさそうに呟く。その口唇が何とも甘美に見えたのは気のせいだろうか。
「戻るぜ、小十郎…ついて来い」
「御意」
こちらの想いなど知らずに歩き出す背中を追う。その背中は立派になった奥州筆頭のそれで。
(喜ぶべきなのだ、この背中が俺の生きる道をも導いてくれる)
凪ぐ風は熱く、喉がチリチリと渇きを訴える。
『卿ほどに自らを戒めている人間が、一番望む欲にまみれた時、魅せる姿は…さて、どれほどにこの心を慰めてくれるものか』
戦場が、真剣勝負への欲が、昂って鋭さを増した感覚に拍車をかける。ドクン、と脈打つ獣の鼓動。あの白く柔らかい首筋を噛んで、傷一つないその背骨の窪みに舌を這わせて。
「どうした?小十郎」
「…いえ、」
「この程度でバテたわけじゃねぇだろ?」
笑うその頬に手を伸ばして、掴んだ手首の感触に眩暈がする。このまま手首を押さえつけて、押し倒して、鎖骨に口づけて、すべて隅々まで暴いたら、どんな表情をするのだろうか。
「御免、」
頬に跳ねた血を拭う。細い腰を撫でて、下肢の抵抗すら奪って。耳を甘噛みしたらどんな声で啼くのだろうか。
「御顔に返り血などつけていては、恰好がつきませぬ故」
「…っ、言えば自分で拭える」
腕から逃れるように頬を擦りながら再び歩いていく。すべてを知っているのは自分だけでいい。一瞬たりとも離れることなく、その目が追うのは、その目に映るのは。
(―――俺だけだったらいいのに、)
ジャリ、大地を踏みしめその背を追った。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。