monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
君が、…君が、
傍に居る。
派手な戦い方は出来ない。
それは勿論、忍という立場として。
(…そうじゃなかったら、旦那みたいに一掃するのに)
姿を隠して一人、また一人と命の灯を摘んでいく。
ふと辺りを見回して立ち尽くしている旦那の姿を見つけた時、
もう殆どが終わったのだと確信した。
「…け…」
自分の名を呼ぶ声。
二度三度、繰り返すたびに不安を滲ませて。
なんて、愛しい。
無意識に口許が緩んだのを、きゅっと引き締めて近づく。
その途中だ、旦那の背後に気配を感じたのは。
(…気付いてないっ…!)
完全に油断している。
速度を何段階も上げて、咄嗟に背後に立った。
その時は、他に追った怪我も傷もその存在自体を忘れた。
「さす、」
思い出したのはそれからすぐ後。
肩と脇腹にまともに矢が刺さってから。
いつもなら得物で軽く弾くのに、完全にミスった。
これは自分も油断してたって、証拠かな。
力が抜けていく身体を辛うじて得物で支える。
膝をついたら、ボタボタと大粒の血が音を立てて落ちた。
あ、倒れる。
それはまるでスローモーションみたいに、
ゆっくりと地面に吸い寄せられるような感覚。
「…っ、佐助ェェェェっっ!!!」
悲鳴みたいに響く声に、落ちそうな瞼を持ち上げる。
視界いっぱいに入るのは、
自分よりも真っ青な顔をした子ども。
「…旦、那、…平気?」
声が震えたことには目をつぶる。
今にも泣きそうな表情で頷く旦那の柔い茶色の髪を軽く撫でた。
「…最後、まで…気、抜いた、ら…だめ、で、しょ…」
本当に困った主人だなぁ。
きっと傷を負ってても口に出さない旦那だから、
せめて目の手の届く場所だけでも怪我が無いか確かめたくて。
何度も何度も触れていたら、
「―――…帰るぞ、佐助…」
ぎゅっと力の入った手。
引き結んでいた口からこぼれた言葉に頷く。
言いたいことあるんだろうな。
怒っているんだろうな。
でも、それを全部我慢して。
(…少しは大人になったねぇ、旦那)
あ、でも鳥は使えそうにないな、旦那一人くらいだったらひとっ飛びなのに。
そう言ったら旦那は何も言うなと制して、
戦場では一度も外したことのない鉢巻きを外していた。
旦那だって怪我してないわけじゃないのに。
未だ血の滴る箇所をきつく縛って止血してくれる。
(…暖かい…)
完全に寄りかかる身体をしっかりと支える腕。
愛しい温もりを感じながら、
少しずつ意識が暗闇に堕ちていく。
あぁ、このまま死ねたらなんて幸せなんだろう。
君が、君が。次が最後。
今回は佐助の話。
派手な戦い方は出来ない。
それは勿論、忍という立場として。
(…そうじゃなかったら、旦那みたいに一掃するのに)
姿を隠して一人、また一人と命の灯を摘んでいく。
ふと辺りを見回して立ち尽くしている旦那の姿を見つけた時、
もう殆どが終わったのだと確信した。
「…け…」
自分の名を呼ぶ声。
二度三度、繰り返すたびに不安を滲ませて。
なんて、愛しい。
無意識に口許が緩んだのを、きゅっと引き締めて近づく。
その途中だ、旦那の背後に気配を感じたのは。
(…気付いてないっ…!)
完全に油断している。
速度を何段階も上げて、咄嗟に背後に立った。
その時は、他に追った怪我も傷もその存在自体を忘れた。
「さす、」
思い出したのはそれからすぐ後。
肩と脇腹にまともに矢が刺さってから。
いつもなら得物で軽く弾くのに、完全にミスった。
これは自分も油断してたって、証拠かな。
力が抜けていく身体を辛うじて得物で支える。
膝をついたら、ボタボタと大粒の血が音を立てて落ちた。
あ、倒れる。
それはまるでスローモーションみたいに、
ゆっくりと地面に吸い寄せられるような感覚。
「…っ、佐助ェェェェっっ!!!」
悲鳴みたいに響く声に、落ちそうな瞼を持ち上げる。
視界いっぱいに入るのは、
自分よりも真っ青な顔をした子ども。
「…旦、那、…平気?」
声が震えたことには目をつぶる。
今にも泣きそうな表情で頷く旦那の柔い茶色の髪を軽く撫でた。
「…最後、まで…気、抜いた、ら…だめ、で、しょ…」
本当に困った主人だなぁ。
きっと傷を負ってても口に出さない旦那だから、
せめて目の手の届く場所だけでも怪我が無いか確かめたくて。
何度も何度も触れていたら、
「―――…帰るぞ、佐助…」
ぎゅっと力の入った手。
引き結んでいた口からこぼれた言葉に頷く。
言いたいことあるんだろうな。
怒っているんだろうな。
でも、それを全部我慢して。
(…少しは大人になったねぇ、旦那)
あ、でも鳥は使えそうにないな、旦那一人くらいだったらひとっ飛びなのに。
そう言ったら旦那は何も言うなと制して、
戦場では一度も外したことのない鉢巻きを外していた。
旦那だって怪我してないわけじゃないのに。
未だ血の滴る箇所をきつく縛って止血してくれる。
(…暖かい…)
完全に寄りかかる身体をしっかりと支える腕。
愛しい温もりを感じながら、
少しずつ意識が暗闇に堕ちていく。
あぁ、このまま死ねたらなんて幸せなんだろう。
君が、君が。次が最後。
今回は佐助の話。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。