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夢の反対は現で、

人は醜悪なものを隠したくて、
見たくなくて、
まるで反対の綺麗なことを並べようとする。
例えば、

紅。

という、その色にさえも焦がれ、
けれどその瞳に映ることを恐れ、
その手にも触れることもできず、
ただ傍に、
かの手が届く場所に、
かの声が聴こえる場所に、
居ることさえできたら。
未来永劫、変わることなく。

「…なんて、ただの夢か御伽噺か」

生憎と、相手にしているのは現実だ。
向かい合えば嫌でも瞳に入るし、
慰めるようにくしゃりと髪を撫でる感触は嫌いじゃないし、
そりゃ主の傍に控えるのは当然で、
こちらが触れるなら手は届くだろうし、
自慢じゃないが耳は人一倍いいから声が聴こえないはずもない。
この繋がりはきっともうしばらくは変わるまい。
それこそ、どちらかが命を落とすことにならない限りは。

「…尤も、落とすとすれば俺だろうし」

死なせはしない。
例え四肢が動かなくなっても、
音が閉ざされても、
光りが闇に呑まれても、
声が枯れてしまっても、
死なせは、しない。

あの、紅、だけは。

「…なぁ、いつまでアンタは背中を守ってもらう気だ?」

右目に問えば、この命尽きるまで、なんてベタなことを言うに違いないが。

「What?…そりゃ、何の話だ」

不機嫌な声なのは、「守ってもらう」いう部分に対してか。

(…それとも、それを問う俺に対してか)

どっちでもいいけど。

「今此処で、俺様がアンタの首を取るのは簡単だぜ?」

今宵は、仄暗い朧月夜。
開け放たれた襖の柱に廊下に背を向け寄りかかる蒼と、
窓枠に座る忍と。
勇敢で聡い右目といえど、無粋な真似はするまい。
これは誰も知らない、逢瀬。
紅も、右目も。
他の、何人たりとも気付きはしない。

「Ha!てめぇなら、そんなこと言う前にもう首取ってんだろうが」

心底可笑しそうに笑う、蒼。
そう、首は取らない。

「俺が、紅の好敵手でなきゃな」

音もなく距離を詰めて、
蒼の隠された目に触れるように手を伸ばす。
蒼は、瞬きひとつ、身じろぎひとつせずに。
ひとつ、
息を吐き出すように自然に、
答えた。


「…俺の命が尽きるまでに決まってんだろ、」


あいつが俺より先に死ぬことも。
俺があいつより先に死ぬことも。

「俺は、俺に、赦さねぇ」


伸ばした手は、結局眼帯に触れることすらせずに。
ただ、何故か。
それは痛いほどに堪えて。

「…じゃ、次逢うときは、敵だな」

「Han?端っから敵同士じゃねぇか」



噛み付くように触れた、口唇は、夜の静寂に酷く冷たく感じた。















佐幸です、念の為( ̄□ ̄;)
蒼様は忍の思ってるとこはお見通し。自分も同じだから。
違うのは、
蒼様→バンバン口に態度に出す
忍→何でもかんでもしまい込む
友人の絵板から一部言葉を拝借しました。

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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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