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愛しい愛しい、





「私は、執着などという愚かしいものは持たぬよ」


男は刀を交えながら、悠然とそう言った。

「それは、時に弱点にもなりうる」

くくっと、男は喉で笑う。
それが、とても癇に障る。

「そんなもんかねぇ、」

執着は、ある。
職業柄、それを表に出すことは出来ないが。
それは確かに自分を拘束するもの(心奪われちゃってるんだし当たり前)だけど、でもそれがあるからこうしてこの場所に立っている。ともに生き、ともに戦い、面倒な国獲り合戦に巻き込まれたことを後悔はしていない。

(それは、俺の、意志、誇り?…いや、子ども染みた独占欲か)

あのの隣に、居たい、と。
あのの隣は、己の場所だ、と。

「…何か言いたそうな表情だな、私の言葉が不本意、かな」

この状況においても、まだ余裕のある様子が気に食わない。
こちらとて、既に手加減などしていない。

「別に?…俺は違うってだけさ、アンタとはね」

男は、また可笑しそうにくくっと笑った。

「あの男と、同じことを言う」

男の言葉に呼応するように、一際大きくが唸りを上げて。


『テメェとは意見が合わねぇみてぇだな』


掠めた、知った声。
それはほんの刹那。


『あのお方は、俺の誇りだ』


視界に蜃気楼のような、「かの男」の背を見た。
無意識の内に奥歯を噛む。
東大寺を燃やす紅蓮に突き動かされるように、
掻き乱されるように、
揺らぐ、内なる

(これは、何に対して、の、何、だ?)

怒りなのか悲しみなのか哀れみなのか後悔なのか屈辱なのか嘲笑なのか自嘲なのかこの感情は。
それが何のどんな感情だとて、それを塵一つも表に出すことはなく。
嘆息、ひとつ。

「…じゃあ、ここはひとつ多数決ってことで

ふわり、と。
利き手の大型手裏剣を振り上げ、振り下ろす。

「――――…」

男は、最後まで、悠然と笑っていた。





「…さぁて、俺様は帰るとするかね」





愛しい愛しい、あの、の隣に。




















初書き○ASARA。
自分でも何を書きたいのかまだ定まってないけど、ひとつ確かに言えることは。
男(↑の)は、 『とんでもなくカッコいい悪役』 であるということ

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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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