monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
未完成交響曲
廻る…それは、過去の魂と記憶を持つこと。
廻った順に
刑部・佐助→慶次→元親→家康→政宗→幸村→元就→三成→小十郎
BASARA転生話・序章というには長過ぎる序章。
※小政、佐幸、親就、家三を意識しているのでご注意を。続きは折りたたみ↓↓
雨と共に魂は廻る。
東照の若者は暖かく世界を照らす夜明けと共に。
殉凶の名を持つ若者は凍てつく月の夜に。
風来坊は春一番の風と共に。
紅蓮の若者は暑い夏の日差しと共に。
竜を名乗る若者は轟々と雷が怒号をあげる嵐と共に。
闇を纏う忍であった彼の者は気付くとそこにいて。
彼らは出逢い、魂の廻りを確かめる。ただひとつ埋まらない空席を思いながら。
それは、雨上がりの夜明け。白む空に跡を残す月と共に。
唐突にけれどそれが当然であるように埋まった空席は、完全に歓迎されるべき形ではなく不完全に廻った。それは神の気まぐれか不慮の事故か理由は定かではない。ただひとつ言えることは、その空席に腰を下ろした「片倉小十郎」という男が、かつて彼が命を懸けた半身であるところの「伊達政宗」という男の記憶だけを持たなかったということ。その様は、完全に欠けている、と言って相違ないものだった。
「彼の者が、ぬしとは…」
包帯で肌を覆った男は低く嗄れた声で言う。
「それを俺様に言うのは筋違いってやつさ。それに、アンタが隠居してる分の足にはなるだろ?」
悪いことばかりでもないだろう?と答えたのは男よりも若い青年。彼らは深い魂の繋がりと記憶を共有している。未だ深い眠りの中にいる魂たちとは違い、気が付くと、「此所」にいた。
「で、本題だ。次に目を醒ますのは誰なんだ?」
男は机の盤上にビー玉程の大きさの白い珠を落とす。すると珠は盤上でゆっくりと円を描くように転がり出す。包帯の隙間から覗く男の目に何が見えているのか、青年からは読み取れない。やがて男はゆっくりと口を開いた。
「世界を照らす夜明け。明けの陽光…」
青年にはそれだけで十分だった。
「残念だったね、愛しの凶王じゃなくてさ」
男は嘲う。
「なに、じきに目を醒ます……が、それも陽光の意味かと思えば何とも口惜しや」
最後は独り言のようになった言葉に青年は笑う。
「何も知らない者同士が、過去の魂と記憶の廻りによって新しい関係を築く。持つものはきっかけだけで、厳密には俺たち自身のことじゃないのに」
青年はドアに寄りかかりながら呟く。
「なのに、魂と記憶が廻る意味…アンタはどう思う?」
視線だけを上げて問う。青年は男の答えを期待して居なかった。
「全ては過去の遺物の身勝手よ我も、ぬしも、これから幸か不幸か廻る全ての人間も、それに運悪く遭っただけのこと」
男はまた嘲う。
「案外強く想い足掻く魂の順に目を醒ましているのやもしれぬ。やれ、面倒なものぞ」
青年は男に対しての皮肉を呑み込んだ。
「それなら、あの独眼竜が未だ廻ってないってことが信じられないね。面白くもない冗談だ」
そう言うに留まって、ついと視線を外す青年と男は見逃さない。
「ぬしの心はどうやら違う結論を出しているようだが…」
「生憎アンタに見透かされるほど、俺様の心は浅くないんでね」
「左様か、」
男は追求しなかった。
「…前から気になってたんだけど、アンタいくつなの?」
青年の軽口に男はすっと目を眇めただけだった。
廻った順に
刑部・佐助→慶次→元親→家康→政宗→幸村→元就→三成→小十郎
BASARA転生話・序章というには長過ぎる序章。
※小政、佐幸、親就、家三を意識しているのでご注意を。続きは折りたたみ↓↓
雨と共に魂は廻る。
東照の若者は暖かく世界を照らす夜明けと共に。
殉凶の名を持つ若者は凍てつく月の夜に。
風来坊は春一番の風と共に。
紅蓮の若者は暑い夏の日差しと共に。
竜を名乗る若者は轟々と雷が怒号をあげる嵐と共に。
闇を纏う忍であった彼の者は気付くとそこにいて。
彼らは出逢い、魂の廻りを確かめる。ただひとつ埋まらない空席を思いながら。
それは、雨上がりの夜明け。白む空に跡を残す月と共に。
唐突にけれどそれが当然であるように埋まった空席は、完全に歓迎されるべき形ではなく不完全に廻った。それは神の気まぐれか不慮の事故か理由は定かではない。ただひとつ言えることは、その空席に腰を下ろした「片倉小十郎」という男が、かつて彼が命を懸けた半身であるところの「伊達政宗」という男の記憶だけを持たなかったということ。その様は、完全に欠けている、と言って相違ないものだった。
「彼の者が、ぬしとは…」
包帯で肌を覆った男は低く嗄れた声で言う。
「それを俺様に言うのは筋違いってやつさ。それに、アンタが隠居してる分の足にはなるだろ?」
悪いことばかりでもないだろう?と答えたのは男よりも若い青年。彼らは深い魂の繋がりと記憶を共有している。未だ深い眠りの中にいる魂たちとは違い、気が付くと、「此所」にいた。
「で、本題だ。次に目を醒ますのは誰なんだ?」
男は机の盤上にビー玉程の大きさの白い珠を落とす。すると珠は盤上でゆっくりと円を描くように転がり出す。包帯の隙間から覗く男の目に何が見えているのか、青年からは読み取れない。やがて男はゆっくりと口を開いた。
「世界を照らす夜明け。明けの陽光…」
青年にはそれだけで十分だった。
「残念だったね、愛しの凶王じゃなくてさ」
男は嘲う。
「なに、じきに目を醒ます……が、それも陽光の意味かと思えば何とも口惜しや」
最後は独り言のようになった言葉に青年は笑う。
「何も知らない者同士が、過去の魂と記憶の廻りによって新しい関係を築く。持つものはきっかけだけで、厳密には俺たち自身のことじゃないのに」
青年はドアに寄りかかりながら呟く。
「なのに、魂と記憶が廻る意味…アンタはどう思う?」
視線だけを上げて問う。青年は男の答えを期待して居なかった。
「全ては過去の遺物の身勝手よ我も、ぬしも、これから幸か不幸か廻る全ての人間も、それに運悪く遭っただけのこと」
男はまた嘲う。
「案外強く想い足掻く魂の順に目を醒ましているのやもしれぬ。やれ、面倒なものぞ」
青年は男に対しての皮肉を呑み込んだ。
「それなら、あの独眼竜が未だ廻ってないってことが信じられないね。面白くもない冗談だ」
そう言うに留まって、ついと視線を外す青年と男は見逃さない。
「ぬしの心はどうやら違う結論を出しているようだが…」
「生憎アンタに見透かされるほど、俺様の心は浅くないんでね」
「左様か、」
男は追求しなかった。
「…前から気になってたんだけど、アンタいくつなの?」
青年の軽口に男はすっと目を眇めただけだった。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。