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邂逅。

暗闇の中にふわりと。
微風のように新しい風が入ってきて。

「機嫌はいかがかな?片倉くん」

涼しげな声音。
その声音に、小十郎はゆっくりと伏せていた目を開けた。




※右目と策士との会話捏造。右目は拘束されて牢屋的なとこに閉じ込められていて、利き腕がままならない設定で。続きは折りたたみ↓↓

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「これで機嫌よく見えるんなら、てめぇの目は節穴だな」
小十郎の言葉に半兵衛は軽く笑った。
「これでもうちとしては悪くない待遇だよ?…君が抵抗しなければそんな枷をつける必要もない」
こうして格子越しの会話は始まった。
「それで、豊臣へ下る気にはなったかい?」
「何度も言わせるな」
小十郎は低い声で睨み上げたが、そんな態度に半兵衛は首をすくめただけだった。
「毛利との同盟も成立、文字通り天下は大きく豊臣に傾いた。君のその選択は賢明だとは思えないけれど」
その後には四国の平定、やることは多い。
そう笑う半兵衛にずっと感じていたこと。

「…てめぇは何を急いている?」

眉間にしわを寄せ訝しげに小十郎が問えば、一瞬だけ空気が揺らいだ気がした。
それは気のせいかもしれない程度の微かな変化だったが。
「何を言いたいのか理解しかねる発言だね。急いているのはむしろ君の方なんじゃないのかい?」
小十郎は沈黙する。
心配にならないはずがない。
あの主が無茶をしていないかと。
「まぁ、急いても仕方ない。決着はついているだろうからね」
「てめぇ、何を!」
格子にぶつかるような勢いで近づいてくる小十郎を見下ろしながら、半兵衛は薄く笑う。
「奥州の周辺国は右目不在の期に伊達へ侵攻を開始した。君の不在は余程響いたのだろうね、兵の割り振りも陽動の危惧も甘い。この手で容易く背に一太刀さ」
ギリ、と小十郎は奥歯を噛み締める。
本来ならばその背を守るのは自分の役目だ。
それが容易く、などと。
「深追いは得策ではないし、そのまま僕は引いたのだけど。どうやら僕が不在の折りに秀吉の手を患わせてしまったようだから」
その言葉の意味するところ。
「竜も地に落ちれば蛇と同じ。これで君も安心して「勘違いするなよ、竜は地に落ちちゃいねぇ。これでようやく対等だ」
小十郎は半兵衛の言葉を遮って言葉を重ねた。
主は天下を取ると決めた。
そして自分はその傍らで誓いを果たすために共に在ろうと決めた。
それを、曲げるつもりはない。
こんなところで。
「対等?冗談だろう?片倉くん」
初めて半兵衛は不快な感情を表情に出した。
「政宗くんと秀吉は対等になんてならない。秀吉は日の本を統べる、そして政宗くんはその礎となるだけだ…それに、今の君じゃあそう戦力にもならないだろう?」
ずきり、半兵衛の言葉に呼応するように傷口が疼く。
こうしてとらわれている理由の一つは無理の利かない左腕だ。
血が止まったと思えば、塞がったはずの傷口がまた口をあける。
殴られた跡など大したことはない。
心は折れていない。
人質に取られていた二人は無事に戻っているなら(半兵衛の言うことを信用するのならばの話だ)、小十郎が奪われたものはない。
この、利き腕の自由以外は。
「秀吉の手で統一されたあかつきには、君には奥州を任せてあげるよ……政宗くんの墓標でも立ててあげるとい…げほっごほっ…」
言いかけて、急に半兵衛は咳き込んだ。
「お前…」
そう訝しがる小十郎の視線から逃げるように半兵衛はその場を後にした。






※だって倒れる間際の左手を伝った血があまりにも気懸かりで。誓いを忘れない限り、右目の心は折れないって信じてる。
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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