monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
狐と兎は仲が悪い
…かどうかは解らないが、少なくとも「銀狐」と「三日月ウサギ」は仲が悪かった。…非常に仲が悪かった。
『fool-Day』
ウサギは夜の闇を背に、目的地へと進んでいた。しばらくは意図的に避けていた場所だが、「アリス」も落ち着いているし、状況は悪くない。「賢い賢い三日月ウサギ」はそう判断を下し、夜の散歩をしている。
「今宵は好い夜ですね、銀狐」
チラリと視界に入る、鮮烈な白。ウサギは口元に笑みを含んで呟く。
「―――…撃ち落としてくれようか、ウサギよ」
対して心底機嫌の悪い声。ウサギは傍の屋根に降り立ち、一定の距離を置いて止まった。
「ならば、腕のいい狙撃手でも用意するんですね」
対するウサギは完璧な笑顔を貼り付けて答えた。
目の前に佇む白。限りなく白に近い曇りなき銀糸の髪。尊大な態度だがそれが様になる文字通り完璧な容姿。だが、銀狐が綺麗なだけではなく相当の切れ者であることをウサギはよく知っている。
「しばし見なかったが、何用だ?」
チラとウサギを見、相変わらずの不機嫌で銀狐は言う。
「久々にアナタに会いたくなったんですよ、」
ウサギの言葉に銀狐は鋭い睨むような視線を送る。すると急に突風が吹き、その風にウサギの服の袖がザックリと切れた。
「戯けが、」
やや低さを増した声に、やはりウサギは変わらぬ笑顔で応える。
「相変わらず容赦のない人ですね、」
そう言って、ザックリ切られた袖を上げて興味深く眺めた。
「何用かと聞いておる、」
銀狐の詰問に、
「聞きたいのは僕の方だ、」
ようやく笑みを消してウサギは言った。
「…キングは鉱石を所有っているのでしょう?」
銀狐は黙った。
「トランプ共のお陰で漸く姿を捉えられそうですよ」
尚もウサギは続ける。
「…アナタはそれを知っていながら、黙認していたんですね」
銀狐がキングと度々接触していることもウサギは知っている。
「…お前が関与していることをバラした覚えはないが?」
「だから、フェアだとでも?」
ウサギは笑うが、その目は鋭く銀狐を射抜く。
「僕がどれほどのものを抱えているか知っていて尚中立だと?」
すると銀狐は嘲笑した。まるでその言葉を待っていたとでも言わんばかりに。
「…我に頼るのか、お前も堕ちたものだな。お前の抱える深さなど、我には関係のないこと」
ウサギは後悔した。
「それに、我はウサギが嫌いだ」
そう言い切って、銀狐は踵を返す。
「…あの男が余程お気に入りのようですね、」
ウサギは聞いているのかいないのか定かでない銀狐に続ける。
「では、あの男の首を落としてアナタに差し上げましょう」
銀狐の足が止まる。
「その時、アナタはどんな表情をするのでしょうね」
愉しげなウサギの声に応えることなく、銀狐はその場から去った。
ウサギは眼帯に隠された目に触れた。
「その為に、僕は」
小さく呟いてウサギもまた闇に消えた。
『fool-Day』
ウサギは夜の闇を背に、目的地へと進んでいた。しばらくは意図的に避けていた場所だが、「アリス」も落ち着いているし、状況は悪くない。「賢い賢い三日月ウサギ」はそう判断を下し、夜の散歩をしている。
「今宵は好い夜ですね、銀狐」
チラリと視界に入る、鮮烈な白。ウサギは口元に笑みを含んで呟く。
「―――…撃ち落としてくれようか、ウサギよ」
対して心底機嫌の悪い声。ウサギは傍の屋根に降り立ち、一定の距離を置いて止まった。
「ならば、腕のいい狙撃手でも用意するんですね」
対するウサギは完璧な笑顔を貼り付けて答えた。
目の前に佇む白。限りなく白に近い曇りなき銀糸の髪。尊大な態度だがそれが様になる文字通り完璧な容姿。だが、銀狐が綺麗なだけではなく相当の切れ者であることをウサギはよく知っている。
「しばし見なかったが、何用だ?」
チラとウサギを見、相変わらずの不機嫌で銀狐は言う。
「久々にアナタに会いたくなったんですよ、」
ウサギの言葉に銀狐は鋭い睨むような視線を送る。すると急に突風が吹き、その風にウサギの服の袖がザックリと切れた。
「戯けが、」
やや低さを増した声に、やはりウサギは変わらぬ笑顔で応える。
「相変わらず容赦のない人ですね、」
そう言って、ザックリ切られた袖を上げて興味深く眺めた。
「何用かと聞いておる、」
銀狐の詰問に、
「聞きたいのは僕の方だ、」
ようやく笑みを消してウサギは言った。
「…キングは鉱石を所有っているのでしょう?」
銀狐は黙った。
「トランプ共のお陰で漸く姿を捉えられそうですよ」
尚もウサギは続ける。
「…アナタはそれを知っていながら、黙認していたんですね」
銀狐がキングと度々接触していることもウサギは知っている。
「…お前が関与していることをバラした覚えはないが?」
「だから、フェアだとでも?」
ウサギは笑うが、その目は鋭く銀狐を射抜く。
「僕がどれほどのものを抱えているか知っていて尚中立だと?」
すると銀狐は嘲笑した。まるでその言葉を待っていたとでも言わんばかりに。
「…我に頼るのか、お前も堕ちたものだな。お前の抱える深さなど、我には関係のないこと」
ウサギは後悔した。
「それに、我はウサギが嫌いだ」
そう言い切って、銀狐は踵を返す。
「…あの男が余程お気に入りのようですね、」
ウサギは聞いているのかいないのか定かでない銀狐に続ける。
「では、あの男の首を落としてアナタに差し上げましょう」
銀狐の足が止まる。
「その時、アナタはどんな表情をするのでしょうね」
愉しげなウサギの声に応えることなく、銀狐はその場から去った。
ウサギは眼帯に隠された目に触れた。
「その為に、僕は」
小さく呟いてウサギもまた闇に消えた。
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狐と銀狐は同一人物
なわけです。必然的に「no title」の男=キング。銀狐は中立。ウサギとキングは因縁あり。
この話も正式にあげていきたいです…できるものなら、ね(~_~;)
この話も正式にあげていきたいです…できるものなら、ね(~_~;)
- 水城夕楼
- 2007/05/26(Sat)21:58:21
- 編集
無題
ぜひ続きをo(^-^)o
ボーダーライン共々楽しみです(≧∇≦)
授業の御供には少し物騒な気もしますけど(笑)
ボーダーライン共々楽しみです(≧∇≦)
授業の御供には少し物騒な気もしますけど(笑)
- 八神
- 2007/05/28(Mon)10:58:25
- 編集
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。