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君に向ける視線はいつだって身を焦がすほどに熱く、鋭く。

内側から喰らい尽くすような。




※戦国とは別枠で、最近人気の落忍で実験的に書いてみた。落忍師匠・Hコケシさんに捧ぐ。続きは折りたたみ↓↓

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「 ワタシ は アナタ が 嫌いです 」


最初の一言は実に容赦のない、感情の籠もらないものだった。
そんなことを言われたのは初めてではなかったが、正直、堪えたのは事実だ。

(何故だか分からないけど、)

編入してまだ間もない頃で、それはそれは慣れないことばかりが多かった。
その一つ一つに一喜一憂というわけではなかったけれど。
先輩は優しいし、後輩も可愛いし。
でも、だからこそあの一言が印象に残って。

(…髪の綺麗な、目の大きい子…)

遠くでマイペースに何らかの作業に勤しむ姿。
決してこっちを見ないけど。
片目を閉じて、その姿に触れるように指を伸ばして。

「…斉藤?」

横から覗き込むように声を掛けてきた黒髪は。
「…あぁ、へーすけくんか」
伸ばした手を引っ込めて笑うと、「随分おざなりな返事だな」と少し嫌味を含んで言われた。
「何やってるんだ?」
「…きれいなひと、触れないかなぁ、と思って」
頭に疑問符が見える様に久々知が訝しげな表情になるのは、少し面白かった。
「…あれは、…綾部、か?」
「ん、そう」
久々知の視線を追うように見て。
相変わらず何をやっているのか分からないが、熱心に動いている。

「へーすけくん、―――綾部に、アナタがきらい、って言われちゃったよ」

久々知の表情は見えなかったが、少し驚いたように空気が揺れた。
「…珍しいな、綾部がそんなこと言うの」
そう呟いて、久々知は去っていく。
その呟きの意味を、反芻する。

「…それって、少しは特別なのかな」

考える。
そして思い至る。
頬杖をついて、視線をそのままに笑う。
嫌いと言われた。
感情の滲まない、素っ気無い声で。


(綾部、でもさ、それって、ちゃんと、俺のこと、見てる、ってことだって、分かってる?)


不意に、目があって。
とびきりの笑顔を向けたら、普段動くことのない表情が少しだけ揺れて。

でもさ、参っちゃうよなぁ。




(君が見てる以上に、俺が、君を、夢中で追っているなんて!)




※何故かタカが黒い、綾←タカ(+くく)。や、タカは可愛いいい子なんですよ。
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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