monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
この喉の奥にまとわりつくのは、
呑み込んだ言葉の数だけ拡がった錆。
こんなに自分は弱かったろうか。
膝を折るほど脆かったろうか。
沸き上がる感情の波を押し殺せずに嗚咽を洩らしてしまうくらいに子どもだったろうか。
答えがあるのかも解らない自分の内に問い掛けても返る言葉はなく。
どうしようもなく泣きたくなることがある。
「…コホン」
小さく咳き込んで、押さえた手に落ちてきたのは喉の奥から剥がれ落ちた錆のようなもので。
それは一度瞬いたら跡形もなく消え去っていた。
その手を握り締める。
「―――何だ、物思いなんて珍しい」
近くの木に降り立ち腕を組んでいるかすがの姿に驚き(外見的には全くいつもと変わらないが)、
握り締めていた手をヒラヒラと振った。
「物思い?冗談でしょ、そんなの俺様のがらじゃないって」
ヘラヘラと笑ってみせたが、かすがは更に訝しげな表情をするばかりだった。
「言っておくが…」
そうかすがは一度目を伏せ、
「お前の手に落ちたものは何もなかった」
とだけ言って踵を返す。
その背を沈黙で見送ってヒラヒラと振った手で頭を掻いた。
忍でありながら忍ではない彼女は、時折酷く冷めた目で忍らしく口を開く。
見抜く。
言い当てる。
「…ホント侮れない女だよ、お前は」
呟いて上田への帰途につく。
忍として口を閉ざす度に、本音を呑み込む度に喉の奥がどんどん凍り付いて。
いつしか言葉を素直に吐き出すことすら苦痛になって。
「…ゴホ、」
咳き込むと落ちるのは錆付いたかの日の言葉。
屋敷の庭に音もなく降り立つ。
「…佐助、戻ったのか」
それなのに、いつもこの子どもだけは気付く。
誰にも気付かれぬように気配を消しても、だ。
「佐助?」
近づいてくる紅に、突然また咳き込みそうになって慌てて口元を押さえる。
「具合でも悪いのか!?」
腕をしっかりと掴む手。
「…顔が、真っ青だ」
心配そうに見上げる紅を見ていたら何だか泣きたくなって。
口元から手を離すとその手で紅を抱き締める。
驚いて息を呑んだのが分かった。
こんならしくもない自分は珍しいから、戸惑っているのかもしれない。
「佐助、」
今は少しだけ何も言わずにこうしててくれないかな。
すぐにいつもの自分に戻るから、もう少しだけ。
「大丈夫だ、佐助」
紅はゆっくりとそう言って背中を抱き返してくれる。
いつもは加減を知らない力任せの手が、心地よい強さでもって背中を軽く叩く。
「なぁ、佐助…気付いていたか?」
楽しそうに弾む声。
「今日は七夕だ」
そう言えば、昔からこの手の行事ごと好きだったんだっけ。
そう思ったら何だか笑いが込み上げてきて。
落ち込んでいる自分が馬鹿らしくなってきた。
(…今顔上げたら泣き笑いしてんだろうな…俺)
「綺麗に空は晴れているぞ」
そう紅は笑って。
「…じゃあさ、もっと近くで見ようよ、旦那」
紅が答えるより早く、紅の身体を担いで屋敷の屋根の上に降りる。
見上げた空は確かに綺麗だった。
月明かりに泣き笑いな表情を見た紅は、
「何だ、そんなに泣いて喜ぶほど嬉しいのか」
と何も知らないように言い、それに対して訂正を入れる気もなかった。
(…わざわざ心地よい空気に水を差すこともないだろうしね、)
「―――…そうだよ、旦那と一緒にこうしてるのが嬉しいんだよ」
そう率直に言えば、びっくりしたように見上げる紅の表情が変わっていく。
すっかり赤くなって目を逸らされたのは、きっと自分の気のせいではあるまい。
※書きながら何を書きたいのか見失った…。
えぇ、七夕は付けたしです。旦那はそういうの好きそうだから(笑)
こんなに自分は弱かったろうか。
膝を折るほど脆かったろうか。
沸き上がる感情の波を押し殺せずに嗚咽を洩らしてしまうくらいに子どもだったろうか。
答えがあるのかも解らない自分の内に問い掛けても返る言葉はなく。
どうしようもなく泣きたくなることがある。
「…コホン」
小さく咳き込んで、押さえた手に落ちてきたのは喉の奥から剥がれ落ちた錆のようなもので。
それは一度瞬いたら跡形もなく消え去っていた。
その手を握り締める。
「―――何だ、物思いなんて珍しい」
近くの木に降り立ち腕を組んでいるかすがの姿に驚き(外見的には全くいつもと変わらないが)、
握り締めていた手をヒラヒラと振った。
「物思い?冗談でしょ、そんなの俺様のがらじゃないって」
ヘラヘラと笑ってみせたが、かすがは更に訝しげな表情をするばかりだった。
「言っておくが…」
そうかすがは一度目を伏せ、
「お前の手に落ちたものは何もなかった」
とだけ言って踵を返す。
その背を沈黙で見送ってヒラヒラと振った手で頭を掻いた。
忍でありながら忍ではない彼女は、時折酷く冷めた目で忍らしく口を開く。
見抜く。
言い当てる。
「…ホント侮れない女だよ、お前は」
呟いて上田への帰途につく。
忍として口を閉ざす度に、本音を呑み込む度に喉の奥がどんどん凍り付いて。
いつしか言葉を素直に吐き出すことすら苦痛になって。
「…ゴホ、」
咳き込むと落ちるのは錆付いたかの日の言葉。
屋敷の庭に音もなく降り立つ。
「…佐助、戻ったのか」
それなのに、いつもこの子どもだけは気付く。
誰にも気付かれぬように気配を消しても、だ。
「佐助?」
近づいてくる紅に、突然また咳き込みそうになって慌てて口元を押さえる。
「具合でも悪いのか!?」
腕をしっかりと掴む手。
「…顔が、真っ青だ」
心配そうに見上げる紅を見ていたら何だか泣きたくなって。
口元から手を離すとその手で紅を抱き締める。
驚いて息を呑んだのが分かった。
こんならしくもない自分は珍しいから、戸惑っているのかもしれない。
「佐助、」
今は少しだけ何も言わずにこうしててくれないかな。
すぐにいつもの自分に戻るから、もう少しだけ。
「大丈夫だ、佐助」
紅はゆっくりとそう言って背中を抱き返してくれる。
いつもは加減を知らない力任せの手が、心地よい強さでもって背中を軽く叩く。
「なぁ、佐助…気付いていたか?」
楽しそうに弾む声。
「今日は七夕だ」
そう言えば、昔からこの手の行事ごと好きだったんだっけ。
そう思ったら何だか笑いが込み上げてきて。
落ち込んでいる自分が馬鹿らしくなってきた。
(…今顔上げたら泣き笑いしてんだろうな…俺)
「綺麗に空は晴れているぞ」
そう紅は笑って。
「…じゃあさ、もっと近くで見ようよ、旦那」
紅が答えるより早く、紅の身体を担いで屋敷の屋根の上に降りる。
見上げた空は確かに綺麗だった。
月明かりに泣き笑いな表情を見た紅は、
「何だ、そんなに泣いて喜ぶほど嬉しいのか」
と何も知らないように言い、それに対して訂正を入れる気もなかった。
(…わざわざ心地よい空気に水を差すこともないだろうしね、)
「―――…そうだよ、旦那と一緒にこうしてるのが嬉しいんだよ」
そう率直に言えば、びっくりしたように見上げる紅の表情が変わっていく。
すっかり赤くなって目を逸らされたのは、きっと自分の気のせいではあるまい。
※書きながら何を書きたいのか見失った…。
えぇ、七夕は付けたしです。旦那はそういうの好きそうだから(笑)
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。