monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
この未来を、
望んだのは自分だ。
何にも縛られず、立場なんてぶち壊して。
けれどその現実に誰よりも苦しんでいるのは小十郎で。
その矛盾にどうしたらいいのか分からなくなった。
※蒼主従の話。歪んだ政宗様と病んだ小十郎。終始暗いです、要注意!!続きは折りたたみ↓↓
何にも縛られず、立場なんてぶち壊して。
けれどその現実に誰よりも苦しんでいるのは小十郎で。
その矛盾にどうしたらいいのか分からなくなった。
※蒼主従の話。歪んだ政宗様と病んだ小十郎。終始暗いです、要注意!!続きは折りたたみ↓↓
目を覚ました時、確かに自分を抱きしめてくれていた腕がなくて動揺した。
本当に温もりが消えているから、居なくなってからそれなりに時間は経っているのだろう。
上着を羽織ることもなく褥を抜け座敷を出た。
まだ夜も明けない時分の寒さは歩くたびに体温を奪っていった。
台所に下りて、屋敷裏手の水場からする声に気付いた。
水場の傍の戸に寄りかかり、じっと息を潜める。
「…ぅ、けほ…」
水をかぶるような音と、呼吸。
小十郎が度々「こう」なっているのは気付いていた。
けれど小十郎が何も言わないのを、自分が言及するつもりはない。
(言及できる立場じゃねぇ、)
この現状を望んだのは他でもない自分なのだから。
その為に犠牲にしたものは多かったが、後悔はしていなかった。
こんな小十郎の姿に気付くまでは。
小十郎は悪い夢をみるたびああして吐いているのだ。
目を伏せ戸から離れると、音を立てずに座敷に戻る。
冷えた身体を体温の失った布団に潜り込ませて、襖に背を向けて眠る。
朝目を覚ましたら小十郎は今日も同じように少し疲れた表情で優しく笑うのだ。
しばらくして戻ってきた気配。
起こさぬようにと注意を払う慣れた温もりが傍に戻ってくる。
けれどじっと動かずに寝たフリをする。
知っているという事実を、知らないことにするのだ。
すべて何も見ていないように。
目を閉じると目蓋の裏に貼りついているかのように蘇る、赤い血の海。
大地も空も人もすべて血の色で、目の前に立つのは因縁の紅。
真田の軍勢に相対した伊達の軍は、負傷の双竜を残して全滅。
信頼していた仲間たちはすべて戦場に散った。
そして、自分を庇って傷ついた右目の名を呼び抱きながら込み上げてきたのは笑いだった。
この戦で采配をとったのは自分で、つまり「こう」なるように仕組んだのも自分自身なのだ。
信じてついてきてくれた仲間たちを失った痛みはこれから先もずっと背負って行かなければならない。
けれどそれよりも何よりも自分は。
(小十郎の腕を、選んだ)
立場も身分も関係もすべてまっさらにして、自分の望む繋がりだけを残してすべて断ち切った。
視線を合わせた紅は何に怯えているのかさえ分からないまま恐怖し、
その傍らの忍はすべてを理解しているのか表情を険しくしていた。
(―――識ってるよ、これがどんなに醜くて歪んだモンなのかなんてな)
だから今度ははっきりと分かるように自嘲った。
隠れ家に使っていた屋敷で小十郎が目を覚ました時、
優しくふわりと安堵したように笑って自分の無事を喜んでくれた。
そして愛しい言葉を与えてくれた。
何もかもが満たされていた。
けれどすぐに二人だけだという現実に罪悪感を覚えたのか、
小十郎は悪い夢にうなされることが多くなった。
すぐ傍にいるのに小十郎ばかりが病んでいって、
けれど小十郎はそれを口にはしないから見ないフリをして。
幸せだと思った未来が、段々に矛盾を孕んでいく。
どうやら、知らぬ間に眠っていたらしい。
目を覚ますと日は既に高くなり始めていた。
「政宗様、」
傍らの小十郎がいつものように少し疲れた表情で笑う。
それを見たら胸騒ぎがして。
続く言葉は多分、いつもとは違う。
そして、今自分が思っている言葉に間違いはないのだろうと思う。
(聞きたくない)
けれど、引き返すことができないのなら終わらせることしかできないのだ。
だから。
「どうか、小十郎を殺してください」
本当に温もりが消えているから、居なくなってからそれなりに時間は経っているのだろう。
上着を羽織ることもなく褥を抜け座敷を出た。
まだ夜も明けない時分の寒さは歩くたびに体温を奪っていった。
台所に下りて、屋敷裏手の水場からする声に気付いた。
水場の傍の戸に寄りかかり、じっと息を潜める。
「…ぅ、けほ…」
水をかぶるような音と、呼吸。
小十郎が度々「こう」なっているのは気付いていた。
けれど小十郎が何も言わないのを、自分が言及するつもりはない。
(言及できる立場じゃねぇ、)
この現状を望んだのは他でもない自分なのだから。
その為に犠牲にしたものは多かったが、後悔はしていなかった。
こんな小十郎の姿に気付くまでは。
小十郎は悪い夢をみるたびああして吐いているのだ。
目を伏せ戸から離れると、音を立てずに座敷に戻る。
冷えた身体を体温の失った布団に潜り込ませて、襖に背を向けて眠る。
朝目を覚ましたら小十郎は今日も同じように少し疲れた表情で優しく笑うのだ。
しばらくして戻ってきた気配。
起こさぬようにと注意を払う慣れた温もりが傍に戻ってくる。
けれどじっと動かずに寝たフリをする。
知っているという事実を、知らないことにするのだ。
すべて何も見ていないように。
目を閉じると目蓋の裏に貼りついているかのように蘇る、赤い血の海。
大地も空も人もすべて血の色で、目の前に立つのは因縁の紅。
真田の軍勢に相対した伊達の軍は、負傷の双竜を残して全滅。
信頼していた仲間たちはすべて戦場に散った。
そして、自分を庇って傷ついた右目の名を呼び抱きながら込み上げてきたのは笑いだった。
この戦で采配をとったのは自分で、つまり「こう」なるように仕組んだのも自分自身なのだ。
信じてついてきてくれた仲間たちを失った痛みはこれから先もずっと背負って行かなければならない。
けれどそれよりも何よりも自分は。
(小十郎の腕を、選んだ)
立場も身分も関係もすべてまっさらにして、自分の望む繋がりだけを残してすべて断ち切った。
視線を合わせた紅は何に怯えているのかさえ分からないまま恐怖し、
その傍らの忍はすべてを理解しているのか表情を険しくしていた。
(―――識ってるよ、これがどんなに醜くて歪んだモンなのかなんてな)
だから今度ははっきりと分かるように自嘲った。
隠れ家に使っていた屋敷で小十郎が目を覚ました時、
優しくふわりと安堵したように笑って自分の無事を喜んでくれた。
そして愛しい言葉を与えてくれた。
何もかもが満たされていた。
けれどすぐに二人だけだという現実に罪悪感を覚えたのか、
小十郎は悪い夢にうなされることが多くなった。
すぐ傍にいるのに小十郎ばかりが病んでいって、
けれど小十郎はそれを口にはしないから見ないフリをして。
幸せだと思った未来が、段々に矛盾を孕んでいく。
どうやら、知らぬ間に眠っていたらしい。
目を覚ますと日は既に高くなり始めていた。
「政宗様、」
傍らの小十郎がいつものように少し疲れた表情で笑う。
それを見たら胸騒ぎがして。
続く言葉は多分、いつもとは違う。
そして、今自分が思っている言葉に間違いはないのだろうと思う。
(聞きたくない)
けれど、引き返すことができないのなら終わらせることしかできないのだ。
だから。
「どうか、小十郎を殺してください」
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。