monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
しとしとと降る雨は、
何故だか好きになれない。
※現代版蒼と風来坊。久々の組み合わせ。なかなか踏み切れない風来坊と、それを知ってか知らずか酷いことを言う蒼様。たまには蒼様が酷くてもいいと思う。でもそれって、「笑えない」。続きは折りたたみ↓↓
※現代版蒼と風来坊。久々の組み合わせ。なかなか踏み切れない風来坊と、それを知ってか知らずか酷いことを言う蒼様。たまには蒼様が酷くてもいいと思う。でもそれって、「笑えない」。続きは折りたたみ↓↓
気分が憂鬱になるのは、きっと君の所為。
学校に来る途中、
雨が降るからという隣のクラスの女子情報に従ってコンビニでビニール傘を買った。
それをくるくると回しながら、すっかり人気のなくなった廊下を歩く。
雨のせいで外の部活動連中は校舎内で縮小活動中。
湿気にむしむしする校舎内の気休めに開けられたドアから、
縮小活動中の声が響いていた。
(こういうの自体は嫌いじゃないんだけど…)
歩調を緩めて、未だ雨の止まない空を窓から見上げた。
そのまま真っ直ぐに昇降口へ。
下駄箱に上履きを放り込んで見遣った視線の先。
そこにあったのは見慣れた背中。
手にした靴を思わず落としそうになる。
(…政宗、だ)
今日はこの雨で部活がなかったのか、
或いは縮小活動が面倒でサボったのか(後者の可能性の方が高そうだ)。
雨空を覗うように見上げるその姿に、
さしあたり傘がなくて小雨になるのを待っているのだろうと予想した。
急いで裏に回って傘をさすと、そのまま昇降口へ走り出す。
まだ居てくれ、とか、小雨になるな、とかほんの少しの距離に色々考えながら。
昇降口に着いて、その姿を見つけひとまず安堵する。
「政宗、はい、傘」
ぼんやりと立っているのに近づいて傘を差し出す。
何事かとじっと見られた後、
不意に伸びてきた政宗の手は自分の前髪をくしゃりと撫でた。
「…あ、えと、…何?」
「濡れてんじゃねぇか」
戸惑って問うと、あっさり返事が帰ってくる。
「それと、…いい」
差し出した傘は押し返されて、横をすり抜ける政宗は雨の下に歩き出す。
どうしたものかと頭を掻いて、歩いていく背に言葉を投げる。
「…やっぱり駄目だ、風邪ひかれたりしたらヤダし」
歩いていく政宗を追って傘に入れる。
「持ってかないなら、送ってくよ」
そう言えば、しばし思案した後政宗は小さく頷いた。
歩き出して学校を出たところで、
「…お前、彼女とか居ないのか?」
真っ直ぐに前を見ながら政宗は呟くように言った。
「…ぅえ?」
驚いた。
「お前、モテるし」
こっちの動揺を知ってか知らずか政宗は続ける。
「バスケ部の助っ人の時、いつもより観客の入りが良かったってよ」
「や、別にそれは俺の影響じゃ…」
二人が入るにはあまりにも窮屈な傘。
距離は近いのに、表情が見えなくて。
どんな顔でそう言うのか分からなくて。
「それに、政宗の方がモテるじゃん」
政宗は首を傾げた。
「…そうか?」
「…俺は…好きだよ、」
「ふぅん、」
もどかしい。
伝わらない。
君の言葉はこんなにも心を突き刺すのに。
不安で揺さぶるのに。
「本当に好きになることなんて、あるのか?」
声のトーンは変わらないのに。
(……なぁ、そんなことをどんな表情で言うんだ?俺に)
言葉を紡げずに居ると、政宗は足を止めて振り返る。
突然見上げてきた瞳は射抜くような眼差し。
でも、その口許を歪ませて。
「…政宗、」
政宗は、嘲笑するように笑う。
「お前、本当に好きな人なんて、居んの?」
笑えねぇよ、それ。
学校に来る途中、
雨が降るからという隣のクラスの女子情報に従ってコンビニでビニール傘を買った。
それをくるくると回しながら、すっかり人気のなくなった廊下を歩く。
雨のせいで外の部活動連中は校舎内で縮小活動中。
湿気にむしむしする校舎内の気休めに開けられたドアから、
縮小活動中の声が響いていた。
(こういうの自体は嫌いじゃないんだけど…)
歩調を緩めて、未だ雨の止まない空を窓から見上げた。
そのまま真っ直ぐに昇降口へ。
下駄箱に上履きを放り込んで見遣った視線の先。
そこにあったのは見慣れた背中。
手にした靴を思わず落としそうになる。
(…政宗、だ)
今日はこの雨で部活がなかったのか、
或いは縮小活動が面倒でサボったのか(後者の可能性の方が高そうだ)。
雨空を覗うように見上げるその姿に、
さしあたり傘がなくて小雨になるのを待っているのだろうと予想した。
急いで裏に回って傘をさすと、そのまま昇降口へ走り出す。
まだ居てくれ、とか、小雨になるな、とかほんの少しの距離に色々考えながら。
昇降口に着いて、その姿を見つけひとまず安堵する。
「政宗、はい、傘」
ぼんやりと立っているのに近づいて傘を差し出す。
何事かとじっと見られた後、
不意に伸びてきた政宗の手は自分の前髪をくしゃりと撫でた。
「…あ、えと、…何?」
「濡れてんじゃねぇか」
戸惑って問うと、あっさり返事が帰ってくる。
「それと、…いい」
差し出した傘は押し返されて、横をすり抜ける政宗は雨の下に歩き出す。
どうしたものかと頭を掻いて、歩いていく背に言葉を投げる。
「…やっぱり駄目だ、風邪ひかれたりしたらヤダし」
歩いていく政宗を追って傘に入れる。
「持ってかないなら、送ってくよ」
そう言えば、しばし思案した後政宗は小さく頷いた。
歩き出して学校を出たところで、
「…お前、彼女とか居ないのか?」
真っ直ぐに前を見ながら政宗は呟くように言った。
「…ぅえ?」
驚いた。
「お前、モテるし」
こっちの動揺を知ってか知らずか政宗は続ける。
「バスケ部の助っ人の時、いつもより観客の入りが良かったってよ」
「や、別にそれは俺の影響じゃ…」
二人が入るにはあまりにも窮屈な傘。
距離は近いのに、表情が見えなくて。
どんな顔でそう言うのか分からなくて。
「それに、政宗の方がモテるじゃん」
政宗は首を傾げた。
「…そうか?」
「…俺は…好きだよ、」
「ふぅん、」
もどかしい。
伝わらない。
君の言葉はこんなにも心を突き刺すのに。
不安で揺さぶるのに。
「本当に好きになることなんて、あるのか?」
声のトーンは変わらないのに。
(……なぁ、そんなことをどんな表情で言うんだ?俺に)
言葉を紡げずに居ると、政宗は足を止めて振り返る。
突然見上げてきた瞳は射抜くような眼差し。
でも、その口許を歪ませて。
「…政宗、」
政宗は、嘲笑するように笑う。
「お前、本当に好きな人なんて、居んの?」
笑えねぇよ、それ。
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無題
放っておくと、段々みんな口調が悪くなっていく。
- 水城
- 2009/06/29(Mon)19:25:23
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。