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ただ音もなく雨は、

しとしととこぼれ落ちて。
それはとても、きれいな雨で。
指先で拭うのが勿体なくて、その頬に口唇を寄せた。


「あっはははは」

水の滴る髪をそのままに盛大に笑う。
すると眉間にしわを寄せて右目が後を付いてくる。
「すごい風に雨だな、ありゃスゲェ」
雲行きが怪しくなった午後。
野菜たちの畑を案じた右目は早々にその保護に動き出した。
それに気付いた兵士たちと作業をしていた右目に、
面白がって手伝いをするといよいよ嵐になって。
兵士も右目もそして自分もすぶ濡れになったのだ。
だが、それが楽しくて仕方ない。
「面白がっている場合ではありません」
ふわりと肩に手拭いをかけて右目は濡れた髪を撫でる。
「放っておけば風邪を召されます」
髪をされるがままにしながらも、
くくくと小さく笑っていると呆れたように右目は嘆息した。
「今湯をはっております」
冷えた身体をちゃんと暖めていただかなくては。
そう何とも生真面目に右目が言うから。
手拭いの合間から右目を見上げる。
「まだ、湯ははってねぇんだろ?」
その声に右目は手を止めて。

「だったら、準備が出来るまではお前が湯の代わりだ」

ぽすん、と音でも立てるように右目の胸に額をつけた。
そんな無防備な頭に冷たい滴が落ちて、
顔を上げれば同様にびしょ濡れになった右目。
その頬の傷を辿るように滑り落ちていく雨粒にそっと口唇で触れて。

「政宗様、」

髪を拭う手拭いは静かに畳に落ち。

「準備が出来るまで、でよろしいか?」

そう、甘やかす低音が鼓膜をくすぐる。
それでいい、などと素直に頷くわけがないと知りながら。
「…今日のお前は何だかいつもと別人だな」
頬の傷を今度は指でなぞって。

「…それはきっと、雨のせいでしょうな」

そう目を伏せて右目が笑う。
右目越しに外を見遣ればすっかり嵐は引いている。

雨は―――――

ただ音もなくしとしとと優しく降り注いで。






※畑保護を手伝う竜(笑)実は更に手間を増やしていたりして。

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無題

……………//////
すっごいツボでした(爆)!!!!!
手伝ってるのに仕事増やしてるとか(笑)
台風とか嵐大好きですv
  • 永月
  • 2009/08/11(Tue)05:48:44
  • 編集

無題

お気に召したようで何よりです(笑)
この話は更新できなかったらどうしようとドキドキしながら打ち込みしてましたよ。
そして今日はその対。
  • 水城
  • 2009/08/11(Tue)19:17:50
  • 編集

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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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