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夜の帳朝焼けの幻泡沫の夢

浅い眠りを繰り返す。
深く息を吸い込んで目を閉じれば、夏の乾いた空気が肺を満たす。
そしてまた眠りに落ちる。
薄めを開けると、傍らにきっちりと正座する膝が見える。
軽く身じろげば、暑いのかと思ったのか団扇の生ぬるい風が頬を撫でる。
襖は月明かりが入る程度開いており、蚊帳越しの月明かりはやけにくすんで見えた。




ある夏の夜、奥州での話。※死ネタあり注意!
続きは折りたたみ↓↓

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世界は夜の帳。
傍らにいる気配はいつものように乱れる気配もなく、いつ眠るのだろうと思う。
男にとって大事なのは自身の眠りよりも主の安眠らしい。
昔からこの男はそうだった。
自分もそれを甘受して育ってしまっていて、わざわざそれを諫める気は遠い昔に置いてきてしまった。

じわりと額に汗が滲んで、それを拭うように冷たい指が張り付いた髪を退ける。
戦場に居るときの体温も、寝付けずに添い寝をしてもらった時に感じた体温も高いのに、何故かたまにこうして冷たい指先をしていることがある。
さしあたり畑仕事の後に水場で手が冷えたのだろう。
だが今日のように暑い夜には心地よかった。

何度目か分からないがまた浅い眠りから覚める。
月明かりは少しずつ朝焼けに変わるのだ。
何度も目を覚ますようになってから、その移り変わりを肌で感じるようになった。
また薄く目を開けると、やはりそこには綺麗に揃った膝が見えて。
目を覚ましたのに気づいていないのか、団扇の風は来なかった。
そのまま目を開けると、少しだけ開いた襖から朝焼けの光が差し込んでくる。
蚊帳越しに降ってくる朝焼けに傍らの姿がぼやけて。
まるで光に融けていくようだと思った。


「……こ、じゅ…ろ」


伸ばした手はその姿をすり抜けて空を掻く。
融けていくその表情が蔭ってはっきり見えない。
ただ口許が困ったような笑みを滲ませて、


『なんて表情をなさっているのか』


とそう音もなく言って。


「…だって、お前、が…」


一筋の涙が頬を伝って褥に滲む。
カチャリ、と冷たい音がして。
政宗は、目を覚ます。
愛しむように腕の中に黒き龍を抱いて。


「お前、が……」


先に逝っちまうからじゃねぇか。

その呟きは音になることなく宙に消えた。





end.
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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