monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
手を止めて、 ※慶政(←佐?)
ふと、その顔を思い出したのは。
ここ数日続いている暖かい日差しに、咲き綻んだ桜の所為だろうか。
(顔も見てねぇし、…あの能天気な声も聞いてねぇ)
風の向くまま、気の向くまま。
何にも縛られることをよしとしない風来坊は今頃どこにいるやら。
「…で、俺様を呼び出したってわけかい」
わざとらしく大袈裟に驚く忍に、頼む相手を間違えたかと数秒思案したが、
他に当てがあるわけもなく。
有能な右目にはこんなことはできまい。
「言っとくが、俺様は真田の旦那の忍だぜ?」
忍が軽く肩を竦める気配がしたが、
付き合う気がなければわざわざこの場にいるはずがない。
「そうだな、伊達に忍は居ねぇ」
文机に頬杖をついて文に落としていた視線を上げると、
やけに真剣な表情の忍と目が合った。
「…珍しいな、こんなことに俺様を使おうだなんてさ」
「天下獲りに使うわけにはいかねぇだろ、てめぇは敵だ」
忍は即座に距離をつめて。
それは一瞬で息の根を止めてしまえるほどの近距離。
「この貸しは高くつくぜ?…独眼竜」
「借りをつくるのは好きじゃねぇが…天下獲り以外でたっぷり返してやるよ、真田の忍」
風来坊の所在が知れたのは、それから翌日。
忍の、本業の片手間の割りに手際が良く正直驚いた。
急いで突き止めろと言ったつもりはないのだが。
「つまり、探しに行かなくても桜追って奥州にもう来てるって話」
無駄な体力使わずにすんで良かったとばかりに言う忍に、
わざとらしく労いの言葉をかけて。
「アンタはさ、あいつが来んのただ待ってりゃいいんじゃないの?」
「別に会うつもりはねぇよ、」
その言葉に、忍は怪訝な表情をする。
「あいつが、生きて何処にいんのか気になっただけだ」
これは本当。
会いたくて、こんな些事を一流の忍(性格はともかく、一応実力は認めている)
に頼んだわけじゃない。
「…へぇ、いつも自分のとこばっかり考えてるようなアンタが、」
言葉ひとつずつ忍はゆっくりと距離を縮めてくる。
「天下獲りに無関係な他の誰かを気にするなんて…妬ける話だねぇ」
「Han!ものは言い様だな」
鼻で笑えば、忍は笑わない。
「じゃあ、独眼竜の旦那さぁ、」
腕を掴んで、吐息が絡まりそうなほどに近く口唇を寄せて。
「あの風来坊が居るとこで、たっぷり借りを返してもらっても問題ないだろ?」
『借りをつくるのは好きじゃねぇが…天下獲り以外でたっぷり返してやるよ、真田の忍』
「あいつは、天下獲りには関係ないんだし?」
「…面倒くせぇな、」
露骨に舌打ちすれば、忍はあっさりと手を引いた。
「……と、言いたいところだけど、超刀の餌食にはなりたくないんでね」
開け放たれた襖から風がそよいで、はらりと桜の花びらが畳に落ちる。
「意気地がねぇな」
「旦那に慰めてもらうさ」
忍は風に融けるように消え、それを見送ったまま畳に倒れた。
目を閉じると、焦燥感の滲んだ足音が近づいてくるのが分かった。
「藤の花を見に来たぜ、」
目を開ければ、お馴染みの風来坊。
どこに行ってたのか、と口にしようとして止めた。
(…女じゃあるまいし…)
「…藤の花ってのは、何のjokeだ?」
風来坊は笑って、優しく髪を梳く。それがくすぐったくて仕方ない。
「ホントは、奥州の桜も咲いてるから花見だと思ってたんだけど」
「すりゃあいいじゃねぇか、花見を」
「それよりも目が離せない藤の花がいるもんでさ」
本当に目が離せない、と少し語調を強める話し方に、くくっと喉で笑って。
「俺はてめぇを縛るつもりはねぇ、」
会いたいと言うつもりもないし、傍にいろと命令するつもりもない。
ただ、ふとした時に思い出す。
「目が離せないってんなら、てめぇがちゃんと捕まえてろ」
そう容易く捕まってやるつもりはないが。
「アンタが奥州筆頭じゃなけりゃあ、すぐにでも攫ってやるのにな」
額が触れて、ぽつりと風来坊は呟く。
軽く笑ったら、拗ねたような表情の風来坊に口唇を塞がれた。
「…次は、佐助に探させるのはやめてくれよ」
何か言われたのか?と問えば、返ってくるのは苦笑ばかりで。
畳に縫い止める風来坊の髪をくしゃりと撫でて。
「…どうした?」
(……この手で、繋いでいられるなら)
不意に形を持った叶わぬ想いに、そっと目を閉じた。
ちょいと甘い仕様。
風来坊も蒼様の男前にタジタジ。藤の花…紫=最愛、高貴な色→蒼様的な意図で。
ここ数日続いている暖かい日差しに、咲き綻んだ桜の所為だろうか。
(顔も見てねぇし、…あの能天気な声も聞いてねぇ)
風の向くまま、気の向くまま。
何にも縛られることをよしとしない風来坊は今頃どこにいるやら。
「…で、俺様を呼び出したってわけかい」
わざとらしく大袈裟に驚く忍に、頼む相手を間違えたかと数秒思案したが、
他に当てがあるわけもなく。
有能な右目にはこんなことはできまい。
「言っとくが、俺様は真田の旦那の忍だぜ?」
忍が軽く肩を竦める気配がしたが、
付き合う気がなければわざわざこの場にいるはずがない。
「そうだな、伊達に忍は居ねぇ」
文机に頬杖をついて文に落としていた視線を上げると、
やけに真剣な表情の忍と目が合った。
「…珍しいな、こんなことに俺様を使おうだなんてさ」
「天下獲りに使うわけにはいかねぇだろ、てめぇは敵だ」
忍は即座に距離をつめて。
それは一瞬で息の根を止めてしまえるほどの近距離。
「この貸しは高くつくぜ?…独眼竜」
「借りをつくるのは好きじゃねぇが…天下獲り以外でたっぷり返してやるよ、真田の忍」
風来坊の所在が知れたのは、それから翌日。
忍の、本業の片手間の割りに手際が良く正直驚いた。
急いで突き止めろと言ったつもりはないのだが。
「つまり、探しに行かなくても桜追って奥州にもう来てるって話」
無駄な体力使わずにすんで良かったとばかりに言う忍に、
わざとらしく労いの言葉をかけて。
「アンタはさ、あいつが来んのただ待ってりゃいいんじゃないの?」
「別に会うつもりはねぇよ、」
その言葉に、忍は怪訝な表情をする。
「あいつが、生きて何処にいんのか気になっただけだ」
これは本当。
会いたくて、こんな些事を一流の忍(性格はともかく、一応実力は認めている)
に頼んだわけじゃない。
「…へぇ、いつも自分のとこばっかり考えてるようなアンタが、」
言葉ひとつずつ忍はゆっくりと距離を縮めてくる。
「天下獲りに無関係な他の誰かを気にするなんて…妬ける話だねぇ」
「Han!ものは言い様だな」
鼻で笑えば、忍は笑わない。
「じゃあ、独眼竜の旦那さぁ、」
腕を掴んで、吐息が絡まりそうなほどに近く口唇を寄せて。
「あの風来坊が居るとこで、たっぷり借りを返してもらっても問題ないだろ?」
『借りをつくるのは好きじゃねぇが…天下獲り以外でたっぷり返してやるよ、真田の忍』
「あいつは、天下獲りには関係ないんだし?」
「…面倒くせぇな、」
露骨に舌打ちすれば、忍はあっさりと手を引いた。
「……と、言いたいところだけど、超刀の餌食にはなりたくないんでね」
開け放たれた襖から風がそよいで、はらりと桜の花びらが畳に落ちる。
「意気地がねぇな」
「旦那に慰めてもらうさ」
忍は風に融けるように消え、それを見送ったまま畳に倒れた。
目を閉じると、焦燥感の滲んだ足音が近づいてくるのが分かった。
「藤の花を見に来たぜ、」
目を開ければ、お馴染みの風来坊。
どこに行ってたのか、と口にしようとして止めた。
(…女じゃあるまいし…)
「…藤の花ってのは、何のjokeだ?」
風来坊は笑って、優しく髪を梳く。それがくすぐったくて仕方ない。
「ホントは、奥州の桜も咲いてるから花見だと思ってたんだけど」
「すりゃあいいじゃねぇか、花見を」
「それよりも目が離せない藤の花がいるもんでさ」
本当に目が離せない、と少し語調を強める話し方に、くくっと喉で笑って。
「俺はてめぇを縛るつもりはねぇ、」
会いたいと言うつもりもないし、傍にいろと命令するつもりもない。
ただ、ふとした時に思い出す。
「目が離せないってんなら、てめぇがちゃんと捕まえてろ」
そう容易く捕まってやるつもりはないが。
「アンタが奥州筆頭じゃなけりゃあ、すぐにでも攫ってやるのにな」
額が触れて、ぽつりと風来坊は呟く。
軽く笑ったら、拗ねたような表情の風来坊に口唇を塞がれた。
「…次は、佐助に探させるのはやめてくれよ」
何か言われたのか?と問えば、返ってくるのは苦笑ばかりで。
畳に縫い止める風来坊の髪をくしゃりと撫でて。
「…どうした?」
(……この手で、繋いでいられるなら)
不意に形を持った叶わぬ想いに、そっと目を閉じた。
ちょいと甘い仕様。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
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