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独占欲の刃を、

深く、深く、突き立てる。







※忍→蒼。歪んでいる表現あり(忍、本領発揮)なので、続きは折りたたみ。↓↓

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傷ついて。
傷つけて。
ただ。

膝にもたれて眠る紅の髪を梳きながら思う。
まるで微温湯に浸かってるみたいだ。
好意を向けられるのは暖かくて幸せ。
だからその心地よさに流されたらきっと幸せだと思う。
現状にそぐわないことに目をつぶれれば。

離したくない、

とでもいうように繋がれた手。

(旦那はいつでも全身でそう言ってる、)

きっとこの主は自分が他の誰かを想っていても傍にいる。
気づいている現実に目を伏せ、時に痛みながらそれでも傍に居るように繋ぎ止める。

(なんて痛々しい、身勝手な子ども)

でもそれは駄目だ。
紅の傍に居てもきっと考えている。
触れたいと思う。
何か、があったら何の躊躇いもなく自分は紅を切り捨てる。

(けど、それで、済むなら)

でも蒼は別の誰かを想っている。
自分がその身柄を独占していても、傍に居ても、その想いは阻むことなどできなくて。

(俺様の感情だってそうだし、)

だから傍でそれを見ている自分は、きっと、何か、をする。
閉じ込めて、
拘束して、
内に飼っているどす黒い感情をきっと蒼に向ける。
手加減などできない。
蒼の全てを傷つけて。
残るのは深い傷痕と緋い血溜まり。
そんなことを考えていたら、ふと耳につく軋んだ音。
ぎこちなく動く気配。
気配を殺して床に紅の身体を横たえると、そのまま音も立てずに座敷を出た。

「…ぅ…っ…!」

ふらつきながらも立ち上げる蒼に近づいて、抱きしめる。

「何やってんの?その怪我で」

「は、なせ」

一瞬苦痛に歪んだ表情が見えて、妙な嗜虐心を覚える。

「それで、大坂に…右目の元に行くって?」

抱きしめる腕に力を込める。

「俺様が行かせると思ってんの?」

「…っ…」

強張った身体を壁に縫いとめて。

「…いくら右目でも、あの策士のついた豊臣は倒せない」

「黙、れ」

「右目はアンタを待ちながら死ぬ、」

傷口に、指を深く食い込ませて。
悲鳴を噛み砕くように飲み込む蒼に、最後の刃を突き立てる。














「俺は、アンタを、ここから、出さない」
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無題

暗躍する迷彩の、の続きみたいです。
  • 水城
  • 2009/05/20(Wed)20:43:40
  • 編集

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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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