monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
静かに優しく囁いた言葉は、
抑制の効かない、毒。
※独占欲の刃~の続き的な。引き続き忍相当歪んでるので注意。 続きは折りたたみ↓↓
※独占欲の刃~の続き的な。引き続き忍相当歪んでるので注意。 続きは折りたたみ↓↓
「…片倉殿、恥を忍んでお願い申す」
その言葉を吐き出すことは、
「どうか……政宗殿を救ってはくださらぬか」
何よりも、恐ろしいことだった。
いつしか後悔が始まって。
それでも、ただ。
ただ一つ、守りたいものがあった。
「…ぁ……ぅン…」
傷口を深くして、逃れることのないように。
その身体に刻み込んで、忘れることのないように。
手加減をなくした迷彩は、蒼も紅もすべての色を飲み込んで。
肥大化しては、冷静に確実に自分自身をも見失う。
それは、後悔の始まり。
床に滴る一滴の血に、伏せていた目を開けた。
気付きながら見えないフリをしていた現実を。
いよいよ、見つめなければならない。
(…すごく、怖い…)
助けを求めるように口をついて出そうになる、名前。
口を押さえることで嚥下した名前は、心の底に酷く重く残った。
「…お館様、この幸村、お館様にお願い申し上げたきことが」
風の中を疾走する。
供に引き連れた騎馬隊と急かしながら目的地に向かう。
目指すは、大坂。
自分の甘えと我が儘で見ないふりをしていた。
それがここまで事態を深刻な状況にさせた。
あの夜、いつしか傍にあった気配が消えていて座敷を出た。
時に歩調を速めながらその姿を探した。
そして。
先を歩く忍の姿を追うと、その手に乾いた血の痕。
「…佐助!」
声に足を止め、振り返った表情はいつもと同じ。
けれど、それは確かに何かが違って。
「…さ、すけ?」
近づいて確認するようにもう一度名を呼ぶ。
忍は、穏やかに笑った。
「旦那、内緒だよ?」
楽しそうに口唇に指を当てて。
「あのね、」
耳元で優しく囁いた。
「俺様、一番欲しかったもの、此処に隠してるんだよ」
それは甘すぎるほど甘い、毒のような。
それ、が何なのかすぐに分かった。
それだけ自分はこの目の前の男を見てきた。
だからこそ、何故それが…隠されているのかが不思議で。
「…お前、は」
そこで繋がった一滴の血。
忍の手の緋色。
それは。
言葉が音として出る前に、忍は既に踵を返していた。
何も、言うことはないとでもいうように。
「片倉殿っ!!」
騎馬隊に援護の指示を出しながら、前線で刀を交える竜の右目の傍らに。
「…真田っ…何しに此処へ来た」
怒鳴るような声に一瞬ひるむも、
此処でこの場から退かせなければ取り返しのつかないことになることは理解している。
「政宗殿のこと、」
「テメェも豊臣にやられたと寝言を言う気か!」
「違う、」
「だったら見ての通りこっちは取り込み中だ、テメェに関わってる暇はねぇ」
「片倉殿っ…政宗殿の身柄を、武田で預かっている」
右目が手を止める。
「――…どういうことだ、」
「…片倉殿、恥を忍んでお願い申す」
その言葉を吐き出すという行為は、
「どうか……政宗殿を救ってはくださらぬか」
たとえこの世が終わろうとも、決してしたくない恐ろしいことだった。
※続きます。
その言葉を吐き出すことは、
「どうか……政宗殿を救ってはくださらぬか」
何よりも、恐ろしいことだった。
いつしか後悔が始まって。
それでも、ただ。
ただ一つ、守りたいものがあった。
「…ぁ……ぅン…」
傷口を深くして、逃れることのないように。
その身体に刻み込んで、忘れることのないように。
手加減をなくした迷彩は、蒼も紅もすべての色を飲み込んで。
肥大化しては、冷静に確実に自分自身をも見失う。
それは、後悔の始まり。
床に滴る一滴の血に、伏せていた目を開けた。
気付きながら見えないフリをしていた現実を。
いよいよ、見つめなければならない。
(…すごく、怖い…)
助けを求めるように口をついて出そうになる、名前。
口を押さえることで嚥下した名前は、心の底に酷く重く残った。
「…お館様、この幸村、お館様にお願い申し上げたきことが」
風の中を疾走する。
供に引き連れた騎馬隊と急かしながら目的地に向かう。
目指すは、大坂。
自分の甘えと我が儘で見ないふりをしていた。
それがここまで事態を深刻な状況にさせた。
あの夜、いつしか傍にあった気配が消えていて座敷を出た。
時に歩調を速めながらその姿を探した。
そして。
先を歩く忍の姿を追うと、その手に乾いた血の痕。
「…佐助!」
声に足を止め、振り返った表情はいつもと同じ。
けれど、それは確かに何かが違って。
「…さ、すけ?」
近づいて確認するようにもう一度名を呼ぶ。
忍は、穏やかに笑った。
「旦那、内緒だよ?」
楽しそうに口唇に指を当てて。
「あのね、」
耳元で優しく囁いた。
「俺様、一番欲しかったもの、此処に隠してるんだよ」
それは甘すぎるほど甘い、毒のような。
それ、が何なのかすぐに分かった。
それだけ自分はこの目の前の男を見てきた。
だからこそ、何故それが…隠されているのかが不思議で。
「…お前、は」
そこで繋がった一滴の血。
忍の手の緋色。
それは。
言葉が音として出る前に、忍は既に踵を返していた。
何も、言うことはないとでもいうように。
「片倉殿っ!!」
騎馬隊に援護の指示を出しながら、前線で刀を交える竜の右目の傍らに。
「…真田っ…何しに此処へ来た」
怒鳴るような声に一瞬ひるむも、
此処でこの場から退かせなければ取り返しのつかないことになることは理解している。
「政宗殿のこと、」
「テメェも豊臣にやられたと寝言を言う気か!」
「違う、」
「だったら見ての通りこっちは取り込み中だ、テメェに関わってる暇はねぇ」
「片倉殿っ…政宗殿の身柄を、武田で預かっている」
右目が手を止める。
「――…どういうことだ、」
「…片倉殿、恥を忍んでお願い申す」
その言葉を吐き出すという行為は、
「どうか……政宗殿を救ってはくださらぬか」
たとえこの世が終わろうとも、決してしたくない恐ろしいことだった。
※続きます。
PR
この記事にコメントする
無題
分かりにくいな…
出だしの部分は、忍が蒼ヤってるつもりだったんだけど…(※不適切)
直そうか…どうしようか…
出だしの部分は、忍が蒼ヤってるつもりだったんだけど…(※不適切)
直そうか…どうしようか…
- 水城
- 2009/05/21(Thu)21:01:25
- 編集
静かに優しく囁いた言葉は、
ものすごく緊張しながら(←)続きを楽しみにしてます!
- 永月
- 2009/05/22(Fri)00:05:09
- 編集
無題
いらっしゃいませ、永月さん(´∀`)何だか予定外の方向に進んでますが…次はちゃんと右目が蒼様救出してくれる予定です。
- 水城
- 2009/05/22(Fri)07:04:14
- 編集
この記事へのトラックバック
- この記事にトラックバックする
カレンダー
カテゴリー
最新記事
(02/10)
(05/06)
(03/21)
(02/23)
(01/13)
プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。