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蔵出し2…

2012年5月23日『恋文の日』記念で書いたお話その2。
相反する想いを抱く両者。
東照は空を仰いで天照に問う。
凶王は地を睨んで東照を憎む。

届かなかった想いと、届いた恋文のかけら。



※初書き関ケ原(家三)。続きは折りたたみ↓↓

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何度も何度も文を書いた。決別したあの日から、会って言葉で伝えることが叶わないなら。この想いを文にしたためる。届くはずのないこの想いを、届くはずもない文に。

「…三成、わしは…」

叶えたい夢があった。
思いがあった。
自分はそれを曲げることはできない。だからこうして対立することは、決別のあの時から決まっていたのだ。けれど。

「それでも、わしは、」

捨てられないのだ。
叶うなら、傍に在って欲しいと思うほどに。
家康は今までしたためてきたたくさんの文を、戦前に炎で焼いた。それはこの想いを、成就できない代わりに弔ってやろうと思ったのかもしれない。正直、それは家康自身にも分からなかった。
ただ、もしこの想いが一片でも三成に届けばよいと思ったのかもしれない。
叶わないなら、せめて。


「お前を愛していたのだ、ずっと…出会ったあの時から」

天を仰いで家康は笑う。果たしてうまく笑えていたか、天照よ。


………
 
ジャリ、大地を踏みしめる音。ずっと追って来た家康と正面から向かい合う。自分の生死などが問題ではない。あの男に、罪を贖わせなければならない。

「…家康、」


その名を、血を吐く思いをしながらどれだけ叫んだか。幾度となく邂逅した時、家康はいつも笑っていた。今こうして冷静になって思えば気付く。奴はいつも笑っていたが、時にはそれは翳り、時にそれは泣いているようにさえ。

「貴様は何を想っていた…」


風が吹く。巻き上がる砂埃に一度目を伏せ、再び目を開ける。視界を過った白いくすんだ紙切れ。燃えて欠けたそこに並んだ文字は、嫌でも知っている者の字に見えた。

「…っ、」


三成はギリッと奥歯を噛んで抜刀する。居合いの刃はその紙切れが地に落ちる前に細切れにした。ゆっくりと納刀し、チン、と音がしたところで三成は目を開ける。なぜそんな紙切れを消したかったのか三成には分からなかった。否、分かりたくなかったのかもしれない。三成の進むべき道は変わらないのだから。
叶わないなら、せめて。

「私は貴様が憎い…今も、そして未来永劫それは変わらない」

大地を睨んで三成は言う。刀を握る手に力を込めて。
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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