monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
過日。
折れた刀をゆっくりと指で撫でる。
刃毀れしているそれに、以前のような輝きはなく。
(或いは、主のもとを離れたからか…)
そこへ不意に、無視できぬ存在感を微塵も隠すことなくやってきた、それ。
顔を上げなくとも解る。
この、気配は。
「…おや、卿はいつぞやの竜の右目ではないか」
撫でていた刀をすぐさま布で隠していく。
自分にとっては大切な刀だが、今のこの姿は。
この男にとっては、ただのガラクタに過ぎまい。
※右目と梟の会話捏造。アニ●サ8話予告から、また同じ画面にこの2人が揃ったらいいのに!!と期待を込めて書き逃げ。続きは折りたたみ↓↓
何を言われても構わなかった。
けれど、この刀をそう言われることは我慢ならない。
自分を律する自信がなかった。
だから。
「それは…一体何を隠したのかね」
「てめぇには大した興味もねぇモンだ」
ふむ、男はそう軽く顎を撫でた。
「豊臣の軍師殿に、卿のことを聞いた時は半信半疑だったが、よもや本当だったとは」
戸は開け放たれたまま、ゆったりと座敷の中へ男は歩いてくる。
「さしあたり、その布の中身も卿が常に案じる危うき主君の…六爪、とでもいったところか」
男はこちらの反応を伺うような素振りもなく言い当て、
かつて六爪を手に入れられなかったことを悔やんでいるなどとそんな感情が欠片も滲まない声で言った。
男にとっては、それは感情を滲ませるほどのことではなかったのだろう。
「しかしながら、」
男は座敷の中で足を止め、初めて認識したかのように見下ろしてくる。
その視線を受け止めるように見上げる。
「卿が案じられる側になるとは…いやはや、軍師殿は一体どんな策を講じたのか」
「やり口はてめぇと大して違わねぇさ」
すると男は笑って、
「私などと一緒にしては優秀な軍師殿に失礼というもの」
本当に可笑しいかどうか定かでない笑みで言う。
男はまた入口に立つと、此方に背を向け外を眺めていた。
その背中を斬りつけることも可能な距離だったが、それはしなかった。
そして恐らく男もそんなことはしないだろうと知っている。
(仮に斬りつけたとて、表情を動かすかどうか怪しいもんだ)
そんな態度が神経を逆なでする。
男の背から視線を逸らし、再び目を伏せる。
今はまだ動く時ではない。
そうやって機をうかがってきた。
「そう、本題を忘れるところだった」
そう大して慌てた様子もなく男は口を開くと、こう言葉を続けた。
「大事な右目を取り戻しにやってくる奥州の一軍を迎え討つことになった」
まるで天気の話でもするような軽い口調で事も無げに。
「…なん、だ、と…?」
思わず口をついて出た言葉。
「荒くれ者たちに引っ掻き回されては敵わない、そうだ」
男は答えて、一振りの刀を抜いた。
「これは…いい銘だ、それに見合うだけの働きはせねば礼にかける」
「てめぇにそんな神経があったとはな」
吐き捨てるように言うと、男は空いた手で髪を掴んで無理矢理見上げさせられる。
「卿も心配なら在るべき場所に帰るといい、卿が望むままに、な」
男は。
一瞬にして興味をなくして手を離すと、そのまま踵を返して去って行った。
「―――・・・在るべき場所、」
布に包まれた六爪の一振りに触れる。
そして再び戸は閉ざされ、元の静寂が訪れた。
この心のざわめきに目を瞑るように。
刃毀れしているそれに、以前のような輝きはなく。
(或いは、主のもとを離れたからか…)
そこへ不意に、無視できぬ存在感を微塵も隠すことなくやってきた、それ。
顔を上げなくとも解る。
この、気配は。
「…おや、卿はいつぞやの竜の右目ではないか」
撫でていた刀をすぐさま布で隠していく。
自分にとっては大切な刀だが、今のこの姿は。
この男にとっては、ただのガラクタに過ぎまい。
※右目と梟の会話捏造。アニ●サ8話予告から、また同じ画面にこの2人が揃ったらいいのに!!と期待を込めて書き逃げ。続きは折りたたみ↓↓
何を言われても構わなかった。
けれど、この刀をそう言われることは我慢ならない。
自分を律する自信がなかった。
だから。
「それは…一体何を隠したのかね」
「てめぇには大した興味もねぇモンだ」
ふむ、男はそう軽く顎を撫でた。
「豊臣の軍師殿に、卿のことを聞いた時は半信半疑だったが、よもや本当だったとは」
戸は開け放たれたまま、ゆったりと座敷の中へ男は歩いてくる。
「さしあたり、その布の中身も卿が常に案じる危うき主君の…六爪、とでもいったところか」
男はこちらの反応を伺うような素振りもなく言い当て、
かつて六爪を手に入れられなかったことを悔やんでいるなどとそんな感情が欠片も滲まない声で言った。
男にとっては、それは感情を滲ませるほどのことではなかったのだろう。
「しかしながら、」
男は座敷の中で足を止め、初めて認識したかのように見下ろしてくる。
その視線を受け止めるように見上げる。
「卿が案じられる側になるとは…いやはや、軍師殿は一体どんな策を講じたのか」
「やり口はてめぇと大して違わねぇさ」
すると男は笑って、
「私などと一緒にしては優秀な軍師殿に失礼というもの」
本当に可笑しいかどうか定かでない笑みで言う。
男はまた入口に立つと、此方に背を向け外を眺めていた。
その背中を斬りつけることも可能な距離だったが、それはしなかった。
そして恐らく男もそんなことはしないだろうと知っている。
(仮に斬りつけたとて、表情を動かすかどうか怪しいもんだ)
そんな態度が神経を逆なでする。
男の背から視線を逸らし、再び目を伏せる。
今はまだ動く時ではない。
そうやって機をうかがってきた。
「そう、本題を忘れるところだった」
そう大して慌てた様子もなく男は口を開くと、こう言葉を続けた。
「大事な右目を取り戻しにやってくる奥州の一軍を迎え討つことになった」
まるで天気の話でもするような軽い口調で事も無げに。
「…なん、だ、と…?」
思わず口をついて出た言葉。
「荒くれ者たちに引っ掻き回されては敵わない、そうだ」
男は答えて、一振りの刀を抜いた。
「これは…いい銘だ、それに見合うだけの働きはせねば礼にかける」
「てめぇにそんな神経があったとはな」
吐き捨てるように言うと、男は空いた手で髪を掴んで無理矢理見上げさせられる。
「卿も心配なら在るべき場所に帰るといい、卿が望むままに、な」
男は。
一瞬にして興味をなくして手を離すと、そのまま踵を返して去って行った。
「―――・・・在るべき場所、」
布に包まれた六爪の一振りに触れる。
そして再び戸は閉ざされ、元の静寂が訪れた。
この心のざわめきに目を瞑るように。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。