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間に合わなくても、一緒にいたい。【前半戦】

日が落ちて一息ついた時、どうしたものかと考えた。
今日は大切な日。
そう、知っていたのに仕事で朝早く顔を合わせずに家を出てきてしまった。

(きっと拗ねてやがるな)

秒針は規則正しく刻まれて、
今日という日の残り時間が少ないことを嫌でも伝えてきた。




※現代版双竜で、2010年政宗様お誕生日おめでとう話前編(今更)。続きは折りたたみ↓↓

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椅子の背もたれに寄りかかると、不満げな音を立てた。
コンコン、ガラス戸を叩く音。
そこにはお馴染みの顔。
「今日も随分遅くまでお仕事だねぇ、片倉さん」
佐助の言葉に苦笑する。
「こんな遅くにすまないな、」
「いえいえ、お得意さん相手ですから、頑張っちゃいますよ」
佐助はよく利用しているバイク便。
仕事は迅速、正確、対応もOK。
本来なら営業時間外であろう今もこうして来てくれる。
「明日の朝イチなんだが」
佐助は荷物を確認しながら、まぁそこまで遠くないから間に合わせるよ、と答えた。
その言葉に安堵する。
「コーヒーでも飲むか?」
時間外給料にしては安いが、と笑えば佐助はイタダキマスと嬉しそうに笑った。
すっかり御用達になってしまった自販機でコーヒーを買うと、その一つを佐助に渡した。
「あぁ、そうそうコレ」
佐助が別件で差し出した袋を受け取る。
「こんなことまで頼んで悪かったな」
申し訳なさそうな表情に、佐助は片倉さん相手だけだよ?と軽く笑った。
コーヒーを一口飲んで椅子で休憩しながら、佐助はこっちの作業を覗きこんでくる。
「それ、今日中に終わりそうなのかい?」
資料に目を落としたまま思案するが、正直微妙なところだ。
「さぁ、どうだかな」
本来であればこの時期はさほど立て込んでいないのだが、助手が優秀であればあるほど不在の穴は大きいわけで。
よりによってその不在が今日だとはさすがに自分の日頃の行いを省みた。
「拗ねるんじゃないの?」
「確実に口はきいてくれないだろうな」
かと言って仕事を投げ出すわけにも行かない。
「家に一人?」
「いや、友人のところでパーティだと」
午後に政宗様からそんなメールが入っていた。
すると、あぁ!と納得したような様子。
「そういや、うちの旦那も行くって行ってたなぁ。じゃあ大丈夫なんじゃない?」
そうだといいが、と呟いて苦笑。
「さて、と。んじゃ、もう一仕事行ってきますか」
コーヒーごちそうさま、と笑う佐助に今一度頼んだ旨を伝え見送った。

壁の時計の秒針の音。
この分だとやはり日付は変わってしまいそうだ。
携帯を取り出してしばらく思案する。
こんなギリギリの時分で、チャンスなんて残されているだろうか。

………

突然の連絡は元親から。
まぁ、あの男ならいつもこれくらい突然なのであまり気にしない。
「"ってことで、バイト何時終わりだ?"」
「何が、ってことで、なんだかまるで見えねぇんだけど」
今日のシフトは18時まで。
その旨を元親に伝えると、終わったら家に来いということと、腹を空かせてこいということ二点だけを言い渡され半ば一方的に電話は切れた。
何だかよく分からなかったが、一応それを今日の予定に入れてバイトに向かった。

(どうせ帰り遅いだろうし…メール入れとこ)

朝起きた時には既にその姿はなく、いつも通り朝食が置いてあった。
少なくとも今日は特別だと何かを期待したのは事実で。

(こんなんてヘコむとか、ガキじゃあるまいし)

そんなことを考えていたら一足先に入っていた成実にでくわしたので八つ当りしてやった。
平日、特に週の真ん中はあまり忙しくない。
いつもだったら30分は残業確定だが、今日はシフト通り18時には終了。
やけにあっさり帰してくれたことを考えると、或いは成実が何かを吹き込んだに違いない。
出会い頭に八つ当りしているので、それ以上は何もせずにバイト先を後にした。
ブラブラしながら元親の家に向かっていると、その途中で元親を見つけた。

「おぅ、早いお着きじゃねぇか」

手には袋を持っている。
「家に居たんじゃねぇのかよ」
「飯作るのとついでに買い出し」
元親が面倒見のいい性格だということは知っていたが、相変わらず近所に住む元就のところへ律儀に飯を作りに行っているらしい。
「大変だな」
「んぁ?」
駐輪場に自転車を止め、2人で家に戻った。
「おかえり~…って、主賓の到着か」
出迎えたのは慶次。
「で、幸村は?」
「部活終わり次第って言ってたから、…まぁ、食べる頃には来ると思うよ」
幸村らしいけど、と笑った。
元親に背中を押されるがまま上がると、中央に出された丸テーブルには既に料理が並んでいた。
「…何、コレ」
思わず感嘆の声を上げると、全部元親の力作だよ、と慶次が顔を出した。
パーティなんてガキっぽくてこの歳でそれもないだろ、なんて思った時の自分を殴ってやりたい。
悔しいが少しジーンとしてしまったのは内緒だ。
その時、ピンポーンとインターホンが鳴る。
「あ、幸村も到着みたいだ」
「遅くなって申し訳ないっ、政宗殿は…」
「よぉ」
慌てる幸村を制して軽く手を挙げる。
ようやく全員揃った。

「ま、そういうことで、お誕生日おめでとう!」

そうだ、今日は、特別な日。

「…あぁ、」

俺の、誕生日。




※続きます。
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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