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隙間から差し込む日の光りが、


優しく鈍い頭を起こしてくれる。
心地良い眠気を引きずりながら、ゆっくりと。



※昨日のオマケ的な蒼主従(+伊達軍)の話。なんだか甘いのが続くな。恥ずかしいから今回は折りたたみ↓↓

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そうして目を覚ませば、少し開いた襖の向こうから賑やかな声が聞こえてきた。
その声に引かれるように襖を開けると、庭先に大量の野菜や果物があった。

「…すげぇな、こりゃ」

驚いて呟くと、気付いた兵士が声を掛けてくる。
「見てくださいよ、筆頭!」
「今回の出来も、片倉様が手をかけただけありますよ!」
畑からの収穫物に上機嫌な兵士たちの言葉に応え頷きながら、この収穫物の功労者の姿を探す。
此処にいる兵士たちに問えばすぐに分かることなのだろうが、それが少し癪で。
座敷を出、縁に足を踏み出したところで当人が両腕に収穫物を抱えてやってきた。

「…政宗様、起こしてしまいましたか」

「いや、そういうわけじゃねぇけど」
右目は腕の荷物を置き汗を拭いながら縁の傍に歩いてくる。
そして向けられた穏やかな眼差しに安堵している自分が居る。
「政宗様?」
黙ったままの自分を不思議がる右目を見、腕を伸ばして抱きついた。
「っな!
顔を見ずとも、その慌てたような困惑したような様子が容易に想像できた。
「…お召し物が汚れますよ」
汗と畑の汚れを気にする右目に笑って、
「構いやしねぇよ、」
と呟けば右目は観念して黙った。
「また始まったよ、筆頭のアレ」
兵士たちが後ろで指差しあって笑う。

「片倉様充電中!!」

こんな光景は珍しいものではない。
それこそ古参の連中は自分と右目の絆をよく知っているのだから。

(それでも、すべて知っているのは…俺と、小十郎だけ)

抱きつく腕に力を込めて目を伏せる。
すると。


ぎゅるるるるる…


「…あー…」
心地良い空気に水を差したのは、他でもない自分のお腹の音。
空気の読めないやつめ、と内心悪態をついた。
すると抱きついた右目は肩を震わせて笑いをこらえていた。

「飯にするか!」

右目は振り返り声を上げる。
兵士たちは愉しく笑いながらそれに応えて収穫物を運び始めた。
腕を離さないでいると、
「さ、顔を洗って眼帯をいたしましょう」
そう右目が囁いて。

『…政宗様…』

ふと過ぎる光景、吐息。
右目が結った眼帯の紐を口で解いて。
無防備な項に熱い吐息が触れて。
ぞくりと背を撫でる感覚に、突き飛ばすよな勢いで右目から離れた。
熱くなる顔で右目を見上げたら、
何を思い出したのかお見通しだとばかりに悪戯な表情で笑っていた。
でも。

(俺は知ってる…こんな表情をするのは、俺にだけだって)

「…ずりぃのは変わらねぇけどな」

「?」
踵を返して歩き出す。
心なしか早足なのは、早くこの熱を冷ましたいからだ。
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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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