monocube
monoには秘めたイロがある。
見えないだけでそこに在る。
数え切れないそれは、やがて絡まり色彩(イロ)になる。
さぁ、箱をあけてごらん。
箱庭(ナカ)は昏(クラ)く底なしの闇色(モノクロ)。
深い闇に融けたらいいのに。
日々の戯言寄せ集め。
当サイトは作者の気まぐれにより、自由気ままに書きなぐった不親切極まりない戯言の箱庭です。
靜けさに殺されるとは、
このことだと思った。
※触れた温もりに~の蛇足的続き。
最後は面倒な忍の話。不自然なくらい紅と虎が男前(?)続きは折りたたみ↓↓
※触れた温もりに~の蛇足的続き。
最後は面倒な忍の話。不自然なくらい紅と虎が男前(?)続きは折りたたみ↓↓
堅固な壁、冷たい床。
耳に入るすべての音が遠い。
こういう時、耳が良いのも考え物だと思う。
「―――ね、旦那、いつまでそこに居んの?」
戸を隔てた向こうにずっと感じている気配。
動かずそこに居続ける存在に声を掛けると、
「…うむ、」と小さく頷くだけで、言葉が続く気配はなかった。
壁から身体を起こして、戸に寄りかかり座る。
「…佐助、戸に、寄りかかっているか?」
何だか少し暖かくなったような気がする、
と落ち込んだような静かな声が少し明るくなった。
「戸越しじゃ、熱なんて伝わらないでしょ」
気のせいだよ、と笑ったが紅は黙ってしまった。
訪れた沈黙の中ふと、
右目の後ろに立ち尽くしていたあの時の紅の表情を思い出す。
怖い、と思っただろうか。
それとも、酷い、と思っただろうか。
何にせよ、自分に対していい印象は抱かなかっただろう。
(ありゃ、酷い、)
右目の怒鳴り声も態度も当然の反応だ。
二人が去った後冷静になって、「酷い」と自分でも思ったのだ。
「―――佐助、」
そんな思考を断ち切る声。
見えるはずもない紅の方向に首を巡らすと、
ぽつり、重い塊を吐き出すように聞こえた声。
「…何故、あの時俺に言った」
『旦那、内緒だよ?』
口唇に指を当てて愉しそうに。
『俺様。一番欲しかったもの、此処に隠してるんだよ』
「俺なら、気付くと分かっていたはずだ」
自分のことをよく知っている紅なら、十分すぎるほど解ると思っていた。
手の内にある存在のことも、どれだけ状況が進行しているのかも。
「…そうだなぁ、旦那がどうするか試したんだよ」
好きだというなら。
現状を知って尚、目をつぶるのか否か。
「…今でも俺のしたことが正しかったのかどうか正直なところ良く解らない」
あれが、自分以外にとって幸か不幸か。
周りのことを考えられるようになったなんて、
大人になったなぁなんて他人事のように思った。
「だが…お前自身では、どうしようもなかったのだろう?」
その問いには答えなかった。
だから答える代わりに問う。
「旦那はさ、俺が別の誰かを思ってても、俺を傍に置いて、好きだって言える?」
「難しい問いだな、」
紅は苦笑する。
それからしばし黙って(思案しているのか、言葉を選んでいるのか)、
再び口を開く。
「そう…想ってしまうのならば仕方あるまい…男たるもの、うじうじ悩むのは格好が悪い」
何とも紅らしい言葉に気が抜けて笑った。
「…俺はね、それが駄目なんだよ、旦那」
だから、「こと」、が起きた。
紅はまた黙る。
目の当たりにした光景を思い出しているのかもしれない。
こつんと頭を戸に寄りかからせて。
「だからさ、旦那、俺様のこと「ならば尚のこと、俺の忍で居ろ、佐助」
その強い言葉にどんな想いが込められていたのかはよく分からない。
けれどそれは拒否を許さない声音で。
「また、繰り返すかもしれないぜ?」
この件でどれだけ優しい紅は心を痛めたのだろう。
それを繰り返すのだとしたら。
「だからこそだ、その度に俺が止めればいい」
そもそも忍頭はお前にしかつとまるまい。
「旦那は…、鈍感だから頼りないなぁ」
参る。
本当に、この主人には敵わない。
「お館様っ…」
「幸村、外してはくれぬか」
「はっ、」
一瞬躊躇ったように止まり、遠ざかっていく足音。
「…大将、」
「暗躍するのが主だったお前には、あれは眩しかろうて」
嘘を吐くことをせずに、どこまでも正直で不器用で。
「お前は月の光りに慣れすぎておるからな」
だからこそ、あの蒼に惹かれてのかもしれない。
闇夜に浮かぶ研ぎ澄まされた月のような。
「だが、明けぬ夜はない、月と等しく日は昇るものじゃ」
冷静な声音が呆れたように緩んで。
「…あの戦馬鹿は、お前にしか諫められぬ」
こちらの応えを待たずに、後程迎えを寄越す、とだけ告げて去っていく気配。
深い息を吐きながら額を押さえる。
「―――ったく、本ト」
この乱世でなんとも甘ったれた話。
だが、戦場で蒼と再会する度に色んな感情や立場の重さを強いられる。
それでも居ろ、と紅も虎も言うのだ。
それが今回のことの罰というなら相応しいのではないか。
そんなことをぼんやり考えながら、迎えとやらが到着するのを待っていた。
※本当に面倒な忍である。
耳に入るすべての音が遠い。
こういう時、耳が良いのも考え物だと思う。
「―――ね、旦那、いつまでそこに居んの?」
戸を隔てた向こうにずっと感じている気配。
動かずそこに居続ける存在に声を掛けると、
「…うむ、」と小さく頷くだけで、言葉が続く気配はなかった。
壁から身体を起こして、戸に寄りかかり座る。
「…佐助、戸に、寄りかかっているか?」
何だか少し暖かくなったような気がする、
と落ち込んだような静かな声が少し明るくなった。
「戸越しじゃ、熱なんて伝わらないでしょ」
気のせいだよ、と笑ったが紅は黙ってしまった。
訪れた沈黙の中ふと、
右目の後ろに立ち尽くしていたあの時の紅の表情を思い出す。
怖い、と思っただろうか。
それとも、酷い、と思っただろうか。
何にせよ、自分に対していい印象は抱かなかっただろう。
(ありゃ、酷い、)
右目の怒鳴り声も態度も当然の反応だ。
二人が去った後冷静になって、「酷い」と自分でも思ったのだ。
「―――佐助、」
そんな思考を断ち切る声。
見えるはずもない紅の方向に首を巡らすと、
ぽつり、重い塊を吐き出すように聞こえた声。
「…何故、あの時俺に言った」
『旦那、内緒だよ?』
口唇に指を当てて愉しそうに。
『俺様。一番欲しかったもの、此処に隠してるんだよ』
「俺なら、気付くと分かっていたはずだ」
自分のことをよく知っている紅なら、十分すぎるほど解ると思っていた。
手の内にある存在のことも、どれだけ状況が進行しているのかも。
「…そうだなぁ、旦那がどうするか試したんだよ」
好きだというなら。
現状を知って尚、目をつぶるのか否か。
「…今でも俺のしたことが正しかったのかどうか正直なところ良く解らない」
あれが、自分以外にとって幸か不幸か。
周りのことを考えられるようになったなんて、
大人になったなぁなんて他人事のように思った。
「だが…お前自身では、どうしようもなかったのだろう?」
その問いには答えなかった。
だから答える代わりに問う。
「旦那はさ、俺が別の誰かを思ってても、俺を傍に置いて、好きだって言える?」
「難しい問いだな、」
紅は苦笑する。
それからしばし黙って(思案しているのか、言葉を選んでいるのか)、
再び口を開く。
「そう…想ってしまうのならば仕方あるまい…男たるもの、うじうじ悩むのは格好が悪い」
何とも紅らしい言葉に気が抜けて笑った。
「…俺はね、それが駄目なんだよ、旦那」
だから、「こと」、が起きた。
紅はまた黙る。
目の当たりにした光景を思い出しているのかもしれない。
こつんと頭を戸に寄りかからせて。
「だからさ、旦那、俺様のこと「ならば尚のこと、俺の忍で居ろ、佐助」
その強い言葉にどんな想いが込められていたのかはよく分からない。
けれどそれは拒否を許さない声音で。
「また、繰り返すかもしれないぜ?」
この件でどれだけ優しい紅は心を痛めたのだろう。
それを繰り返すのだとしたら。
「だからこそだ、その度に俺が止めればいい」
そもそも忍頭はお前にしかつとまるまい。
「旦那は…、鈍感だから頼りないなぁ」
参る。
本当に、この主人には敵わない。
「お館様っ…」
「幸村、外してはくれぬか」
「はっ、」
一瞬躊躇ったように止まり、遠ざかっていく足音。
「…大将、」
「暗躍するのが主だったお前には、あれは眩しかろうて」
嘘を吐くことをせずに、どこまでも正直で不器用で。
「お前は月の光りに慣れすぎておるからな」
だからこそ、あの蒼に惹かれてのかもしれない。
闇夜に浮かぶ研ぎ澄まされた月のような。
「だが、明けぬ夜はない、月と等しく日は昇るものじゃ」
冷静な声音が呆れたように緩んで。
「…あの戦馬鹿は、お前にしか諫められぬ」
こちらの応えを待たずに、後程迎えを寄越す、とだけ告げて去っていく気配。
深い息を吐きながら額を押さえる。
「―――ったく、本ト」
この乱世でなんとも甘ったれた話。
だが、戦場で蒼と再会する度に色んな感情や立場の重さを強いられる。
それでも居ろ、と紅も虎も言うのだ。
それが今回のことの罰というなら相応しいのではないか。
そんなことをぼんやり考えながら、迎えとやらが到着するのを待っていた。
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プロフィール
HN:
瑞季ゆたか
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。
好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。
備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。
気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。