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不意にフラッシュバックする、

知っているようで知らない、過去の、記憶。





※現代版風来坊と竜の話。
某方の本を友人に借りたがために出来た話。
きっと「記憶」を持っている人間は他にも居るはずだ。某方の本とは一切何の関係もありませんが。
続きは折りたたみ↓↓

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待ち合わせの場所は、

いつも決めない。
風来坊の慶次がどこをほっつき歩いているかで大抵が決まる。
二人は最低限身を守れる装備を整えて、供も連れずに外に出ていた。

「政宗殿!」

戦場で会えば敵同士でも、今この時だけは休戦。
「随分早い到着じゃねぇか」
軽く政宗が笑えば、そういう政宗殿こそ、と笑われた。
「ま、あいつの遅刻はいつも通りだがな、」
諸国を春を追うように転々とする慶次は、風の向くまま気の向くままだ。
「まあ、慶次殿らしいと言うか」
そう言いながらも二人は慶次を待つこの時間が然程嫌いでもない。風の揺れる簪代わりの羽、肩の上でご機嫌に跳ねる猿。

「蒼紅総出でお出迎えとは嬉しいねぇ」

慶次は大声で笑い、振り返る二人は困ったような呆れたような表情で笑う。
「ha!相変わらずの登場じゃねぇか」
「悪かったって、ちょっと悪人に絡まれちまってな」
「真か!」
「てめぇじゃねぇ誰かが、だろ」
まんまと言い当てられた慶次は頭を掻いた。
「ま、ま、細かいことは気にしない気にしない、さて、どの土産話からはじめようか」
手にした酒を軽く見せると政宗が小さく口笛を鳴らす。以前に立ち寄った島津の酒好きは有名だが、その折に気前よくくれたのだった。
「なっ、白昼から酒などっ!」
幸村がそう言うのも慶次は予想済みだ。幸村の保護者に近い佐助にも幸村には酒を飲ませるなと口酸っぱく言われている。

(益々幸村のオカンと化してるよな…あいつは)

「幸村にはこっち、」と好物の団子を差し出せば、嬉しそうに表情が緩んだ。政宗も幸村も戦場で名を馳せる二人だが、それを抜きにすれば、歳相応に素直な性格である。

(生まれたのがこの乱世ってのが悔やまれる)

「おい、どっかいい場所知ってんだろ?」
ぼんやり物思いに耽っていたところを背中を小突かれまた歩きだす。確かに旅をしている慶次の方が休むにちょうどいい場所を知っている。
「そいや、右目に忍は?」
後ろを向きながら歩き二人を見ると、双方は何のためらいもなく

「「畑」」

と口を揃えて答えた。途端に複雑な表情をする二人を見慶次は笑った。
「んじゃ、ま、気兼ねなくってことで…手始めに島津のじっちゃんと武蔵の話でもすっか」
「二人は良き好敵手だて聞き及んでいるが」
身を乗り出すように興味津々な幸村と
「鬼島津か…そういや小十郎が一度手合わせしたいっつってたか」
と呑気な返答の政宗。その温度差に苦笑しながらも慶次は話を始める。
政宗も幸村もそれぞれの知る世界はまだまだ小さくて狭い。世界はもっと広くて楽しいことに溢れている(そうでないことも等しくあるのだが)。それを慶次は少なくとも二人よりは知っていて、だからこそ伝えたいと思う。


(いつかすべてが片付いた、争いのない世が訪れた時に)


笑っていられる何かがあったらいい。








※縁にてふと、と対になる信号機(カラー)3人の話。
どこまでもがきんちょだといい。

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本当に思っていることは、

いつだって伝わらない。





※何だか書いてるうちにこっぱずかしくなってきたので、折りたたみ。↓↓筆頭…乙女です…なんとなく。

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それは蜃気楼のように揺らいで、

深く、深く、苛んでいく。

カサ。
葉の落ちる音で目が覚めた。
見上げればまだ夜明けは遠く(雨天により予想の精度は落ちるだろうが)、
先刻目を閉じてから大して時間は経っていないように思えた。
あの体温がなくなって、深く、眠ることが出来ない。
すぐに何が起きても対応できるよう腰に差している刀を抱えて眠る。
その冷たさは一時的に眠りには誘ってくれるものの、
結局些細な音で目を覚ましてしまう。

気を抜けば、思い出す。

声。

髪。

温度。

愛しいあの方の傍に居ない自分を責めながら、
痛みを飲み込むように此処までやってきたのだ。
夜が明ければ、きっと気付かれる。
怒るだろうか、それとも呆れるだろうか。
不在の自分を憎んで罵っているのかもしれない。

ずっと口にしてきたのに。

(幼い頃から説くように傍に居ると誓った)

ずっと傍で守ってきたのに。

(何があっても独りにはしないと)

それを口にしていた自分から、傍を離れたという事実。

(…に、貴方は絶望するだろうか)

降り続いていた雨は止んで、雨宿りの軒先から数滴滴る程度。
夜が明ける前に、星が、月が見えるだろうか。

「―――…政宗様、」

月は、重なるから出てくれない方がいいな。

「…どうか、お赦し下さい」

いや、赦されなくても構わない。
自分は自らの意志で傍を離れたのだから。

きっと、赦されては、ならない。

刀を支えに立ち上がる。
雨に緩んだ大地に足跡が残るのは解せないが、山の天気は変わりやすいものだ。
また雨が降ればそれも消えてなくなるだろう。
雨粒の滴る数刻の宿を出、また歩き出す。
これ、はあの方の為ではない。
あの方の為、なんてそんなことが言えるなどと自惚れるな。
だが、あの方の為になればいい、と思う。
この四肢が折れても、この手が声が届かなくても後悔はしない。

(……揺らぐな、)

刀の感触を確かめるようにしっかりと握る。


もうすぐだ、夜明けにはすべてを終わらせる。






※右目の意志。…続きます。

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縁にてふと、

季節の移ろいに想いを馳せる。
の桜が春を呼び、
き遠雷は雨を連れ、
そして吹き込むは初夏のから風。

それはまるでどこかの誰かさんのようだ、と佐助は笑い、つられるように小十郎も表情を綻ばせて頷いた。

城主不在の折に佐助は何の前触れもなくふらりと現れた。
縁で立ち止まる小十郎に気付いた佐助は、
「右目の旦那…竜の旦那行かせたんだ」
挨拶もそこそこに城主の不在を感じ取ったのかそう言った。
「そういうテメェも、後をついて行ったのかと思ったが」
対する小十郎も意外そうな表情で応える。だが二人とも「そう」なのは理解しているし、野暮なことをする気はない。
「まぁ、三人いりゃ大丈夫でしょ」
縁に腰かけあっけらかんと笑う佐助に小十郎は頷いた。

「で、テメェは何しに来たんだ、」

問うと、佐助は後ろに手をついて立つ小十郎を見上げる。
「いやぁさ、苗の育ちが悪いやつがあるんだわ」
互いの主が居ない時、しばし二人は菜園の話に興じることが増えた。佐助が知る中では畑や野菜に関しての知識を最も持っているのは小十郎であり、また小十郎自身もこのテの話には寛容なのである。小十郎のアドバイスは分かり易いし、実に的確だ。

(俺様…益々家庭的になっちゃって平気かね…)

そう不安を抱かないでもないが。だが、それを差し引いても小十郎は純粋な話し相手としても申し分ない。
「旦那が話し相手じゃ…こうもいかないしねぇ」
軽く溜息をつくと、真田を甘やかしすぎるからそうなるんだ、と窘められた。苦し紛れに、「真田の教育方針は自主性なんですよ」と言い返したら、「放任主義だな」と更に返されて言葉に窮した。黙り込んだら一旦気配が消え、佐助が腰掛けたすぐ脇に茶が置かれた。その抜かりなさに毎度毎度飽きもせず感心してしまう。
「右目の旦那、真田に来ない?」
それだけ出来上がってるなら、相当いい待遇よ?と続けるが、小十郎はあしらう様に軽く笑う。
「その話はこれで何度目だ?」
「さぁ、もう忘れた」

「俺ァ、政宗様の為以外の命は持っちゃいねぇ」

「だろうね、俺も旦那以外に命を懸ける気はないし」

いつもと同じ他愛もない言葉の応酬。
「戦場じゃ敵同士だ、俺等はこれくらいで丁度いい」
「とか言って右目の旦那はこっちに来てくれないし、俺様が大変だって話じゃん」
「忍は脚が早いんだろう?」
俺が行くよりいい、と何とも誤魔化されてしまった。縁に置かれた茶を一口。奥州の自然を眼下にぼんやり物思いに耽る。

「それ飲んだら、ついて来るか?」

「ん?」
「苗の育ちが悪いやつがあるんだろ?」
袖を捲くりながら小十郎は言い、そんな様子を見ながら佐助はその優しさを少し人に対しても(伊達以外の人間に)向けばいいのにと思う。

(まぁ、こうでなくちゃ右目なんて務まらないんだろうけど…竜の旦那の甘さを断ち切る右目、か)

そうして温くなった茶を飲み干した。
「にしても、いい風だ…」
縁に湯飲みを置き立ち上がる。

旦那の能天気は春の陽気みたいだし、竜の旦那は雨に好かれて梅雨を連れて来る、オマケに前田の風来坊は夏の暑苦しさを持ってるときたもんだ


笑って言えば、
「何だかんだで馬が合う人間が居るってのは、いいもんさ」
急に小十郎は保護者の表情になって。

「じゃ、早速右目の旦那自慢の場所にお呼ばれしますかね」

庭に下りた小十郎の背中を押し、二人はその場を離れた。







※右目と忍。各軍のオカン的な。その前の話の殺伐感ではあり得ないほどの関係...

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プロフィール

HN:
瑞季ゆたか
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1984/02/10
職業:
引きこもり人嫌いの営業AS見習い
趣味:
読書・音楽鑑賞・字書き
自己紹介:
◇2006.11.16開通◇

好きな音楽:Cocco、GRAPEVINE、スガシカオ、LUNKHEAD、アジカン、ORCA、シュノーケル、ELLEGARDEN、LINKIN PARK、いきものがかり、チャットモンチー、CORE OF SOUL、moumoon…などなど挙げたらキリがない。じん(自然の敵P)さんにドハマり中。もう中毒です。
好きな本:長野まゆみ、西尾維新、乙一、浅井ラボ、谷瑞恵、結城光流(敬称略)、NO.6、包帯クラブ、薬屋シリーズなどなど。コミック込みだと大変なことになります(笑)高尾滋さんには癒され、浅野いにおさんには創作意欲を上げてもらいつつ…あでも、緑川ゆきさんは特別!僕の青春です(笑)夏目友人帳、好評連載中!某戦国ゲームにハマり我が主と共に城攻めを細々とのんびり実行中(笑)サークル活動も嗜む程度。他ジャンルに寄り道も多く叱られながらも細々と更新しています…たぶん。

備考。寒さに激弱、和小物・蝶グッズとリサとガスパールモノ・スヌーピーモノと紅茶と飴と文房具…最近はリボンモノもこよなく愛する。一番困るのは大好物と嫌いな食べ物を聞かれること。

気まぐれ無理なくリハビリのように文章やレポを書き綴る日々…褒められて伸びるタイプです。

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